たびたび登場 金正恩総書記の“ジュエ氏とみられる娘”は後継者? 否定的な見方も…
ジュエ氏とみられる金正恩総書記の娘について、韓国政府の見方が変化している。これまで、後継者かどうかについては慎重だったが、政府高官から「後継者の可能性がある」との発言が相次いでいる。一方で、専門家の間では、後継者説に否定的な見方も根強い。 【画像】金総書記“娘とペアルック”で空軍視察 「朝鮮の新星女将軍」…娘ジュエ氏の呼称格上げか
■対北朝鮮担当の韓国閣僚「後継の可能性も排除できない」
2023年12月、韓国で対北朝鮮政策を担当する金暎浩(キム・ヨンホ)統一相は、外国メディア向けに会見を開いた。この中で金統一相は、ジュエ氏とみられる金総書記の娘が「後継者になる可能性も排除できない」と述べた。“娘”はこれまでに北朝鮮メディアに19回登場し、そのうち16回が軍関連のものだったという(金統一相の会見時)。徐々に、登場する儀式の水準も上がってきているとした。
金統一相は23年、金総書記が娘とともに北朝鮮の海軍司令部や空軍司令部を訪問した際、軍の高官が娘に敬礼をしている点を指摘した。さらに9月の民兵組織の軍事パレードで、金総書記の側近でもある、朴正天(パク・ジョンチョン)氏が、ひざまずいて話すような場面もあった。韓国政府はこのような演出をもとに、北朝鮮が娘を早期に登場させて、4代にわたって世襲する意志を強調していると判断している。 その背景には、北朝鮮が抱える多くの困難や、体制の緩みが生じていることが指摘されていて、内部結束を高める必要があるとみている。具体的には、財政的な理由などでの在外公館の撤退、食糧難、韓国ドラマや音楽が流入していることなどを挙げた。
■「後継者か突き詰める段階」「第1書記に就任か」
韓国大統領府の趙太庸(チョ・テヨン)国家安保室長も、娘が「後継者だと思って検証をしなければならない」と言及している。この発言も23年12月になってのものだ。「以前までの認識が『後継者なのか?』と思っていたという段階ならば、今は『おそらく後継者だと思うが、合っているのかを突き詰める段階』ではないか」と、大統領府としての捉え方が変わっていることを明言した。 一方、別の韓国政府高官は、21年に新設された朝鮮労働党の第1書記の役職が空席となっていることに触れ、ジュエ氏とみられる娘を念頭に置いているのではないかと踏み込んだ。韓国メディアも、これらの論調に沿うような報道が増えてきている。