「僕に夢を見させてくれる存在」。元カープ・今村猛が振り返る、盟友・大瀬良大地との出会い
現役時代、タフなリリーバーとしてカープ3連覇に貢献した今村猛さん。大瀬良大地とは同じ長崎県出身の同学年。高校時代には県予選でしのぎを削り、プロ入り後は8年間チームメートとしてカープ投手陣を支えてきた。現役引退から2年。改めて大瀬良とのエピソードと思いを語ってもらった。(全2回・第1回) 【写真】今村・大瀬良・一岡の『カピバラ三兄弟』 ◆出会いは高校3年夏の対戦。プロ入り後は良きチームメート (大瀬良)大地とはカープで8年間(2014年~2021年)一緒にチームメートとしてプレーしました。振り返れば、高校3年生の夏、長崎県予選の準々決勝で対戦したときに初めて大地の存在を知りました。それまでは大地の存在を知らなくて、「県内にこんなにすごい選手がいたんだ」と圧倒されたことが忘れられないですね。県外のチームとも対戦していましたが、シンプルに打てないなと思いましたし、打ちづらい投手だと感じました。ちなみにその試合で僕らは負けてしまい、大地がエースの長崎日大高が甲子園に出場しました。 その試合で対戦はありましたが、高校時代には会話をしていないんです。夏の大会で負けて衝撃を受けて「プロに行かないのかな?」と思っていましたし、大地が進んだ九州共立大はプロ野球選手がたくさん出ているので「いずれプロに進むんだろう」と思っていました。高校を卒業してから、たまにメールで連絡を取るようになりました。やり取りは基本的に野球の話だったと記憶しています。 2013年秋のドラフトでは、同学年の大学生が入団する年だったので、同じ1991年組の堂林(翔太)とか庄司(隼人)たちとドラフトを見ていて、「まさか、大瀬良がチームメートになるなんて」と話をしていました。初めて会話したのは、大地がドラフトでカープ入りが決まったあとに長崎県人会があって、そこで初めて会って話をしました。「初めまして」という感じもなかったですし、すんなり会話に入れましたね。面と向かって会話をしたことがなかったのですが、お互い高校時代から知っていて、メールのやり取りをしていたこともあって、何だか不思議な感じでしたね(笑)。 チームメートになってからはよく一緒に食事をして、他の選手よりもプライベートでも一緒にいることが多かったです。大地はプロ1年目から先発として新人王を獲得しました。僕は先発として結果を残せなかったので、「先発で活躍してすごいな」という目線で見ていましたし、刺激になりました。普段から投げるときの意識やフォームのこと、変化球の話など、野球に関してもよく話をしていました。大地がリリーフに回ったシーズンは準備、考え方をよく話をしましたが、僕だけではなく、中﨑(翔太)だったり、いろんなリリーフ投手に熱心に話を聞いていたのも印象的です。 最初はイメージ通り「真面目だな」という印象を持っていましたが、だんだんそのイメージは変わっていきました。基本的に真面目なんですが、普段の大地はふわっとしていて……お茶目な面もあります(笑)。2人でいるときは、お互いに良い意味で気を遣わないというか、一緒にいて楽ですね。同じ1991年組の選手がたくさんチームにいましたけど、大地は同じ長崎県出身ですし、同じ投手だったので、同学年の選手の中でも特に特別な存在でした。周囲から「高校時代からのライバル」と取り上げていただくこともありましたが、僕らはあまり気にしていませんでした。(後編へ続く)
広島アスリートマガジン編集部