製造物責任法(PL法)とは?わかりやすく解説、「損害賠償金」支払った10社の事例紹介
どこからが「欠陥」と言える? PL法の定義とは
製造物責任が生じるのは、製造業者が引き渡した製造物について「欠陥」が認められる場合である。ここでは、同法における「欠陥」の定義や判断基準について解説する。 ■ポイント(1):製造物責任が生じる「欠陥」とは PL法では、製造物に関するさまざまな事情を総合的に考慮した上で「製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」を「欠陥」と定義している。具体的には、次の3点が考えられる。 ■「欠陥」と定義されるポイント ・(1)設計上の欠陥 設計段階で十分に安全性に配慮がされなかったことで、製造物が安全性に欠けた場合 ・(2)製造上の欠陥 製造過程での粗悪な材料の混入、組み立て時のミスなどにより、所定の仕様通りに作られず安全性が欠けた場合 ・(3)指示・警告上の欠陥 危険性の除去ができない製造物において、危険を回避・防止するために必要な情報を与えなかったことにより、安全性に欠けた場合 ■ポイント(2):PL法における欠陥の判断規準 製造物の「通常有すべき安全性」の内容や程度は、個々の製造物や事案によって異なる。そのため、欠陥であるかどうかは、製造物に係る諸事情を総合的に考慮して判断される。 PL法では、欠陥の判断における考慮事情として、「製造物の特性」「通常予見される使用形態」「製造業者等が当該製造物を引き渡した時期」の3点を例に挙げている。
どんな時に損害賠償? いすゞ、ダイキン工業ら10社事例
製造物責任が認められた場合、製造業者等は被害者に対して損害賠償責任を負う。損害賠償とは、違法な行為により他人に損害を生じさせた者が、その損害を受けた者に対して損害をつぐなうことである。PL法における「被害者」は消費者に限定されていないため、事業者間においても損害賠償責任を負う可能性がある。 ここでは、PL法の損害賠償について、日本企業の訴訟事例や、免責事由、時効などを解説する。 ■ポイント(1):損害賠償責任には民法が適用される PL法は民法の不法行為責任の特則に位置付けられることから、損害賠償責任には民法が適用される。よって、金銭賠償が原則となるほか、損害賠償の範囲や損害額の算定方法も民法上の不法行為のケースと同様に扱われる。 なおPL法の目的は、製造物の欠陥によって他人の生命・身体・財産に対する損害が生じた際に損害賠償責任を認め、それらの保護を図ることにある。そのため、損害が製造物のみに生じれば、損害賠償の対象外となるケースがある。ただしそのケースにおいても、民法の債務不履行責任・不法行為責任等は追及可能である。 ここからは、PL法に関連する日本企業の訴訟事例を紹介する。 ■ポイント(2):どんな時に損害賠償支払う? 訴訟事例まとめ 【PL法に関連する日本企業の訴訟事例】