製造物責任法(PL法)とは?わかりやすく解説、「損害賠償金」支払った10社の事例紹介
企業は何を対策すれば良い? やっておくべき3つのPL法対策
PL法では製造業者等に対し、何らかの具体的な対策を講じる義務を定めているわけではない。とはいえ製造物の欠陥の発生を完全に防ぐことは極めて難しく、万一消費者に対する被害が生じれば、深刻な事態に陥る恐れもある。PL法を踏まえ、企業はどのように対策すればよいのだろうか。 ここでは、企業が行うべき製造物責任対策として以下の3点を解説する。 ・指示・警告の表示を徹底する 安全性に配慮した設計・製造を徹底する 損害発生時の賠償リスクに備える ■対策(1):指示・警告の表示を徹底する 「警告上の欠陥」に向けた対策としては、指示・警告の表示を徹底することが有効である。正しい使い方を示すことはもちろん、誤った使い方をしないよう注意喚起したり、耐用年数・使用期限を明記したりすることも重要だ。 取扱説明書に詳細に記載するほか、必要に応じてPLラベルを製造物に貼付・印字するなどして活用するとよい。PLラベルとは、図記号やメッセージなどを使用し、使用状況によって起こりうる不具合や危険を視覚的に警告・喚起するラベルである。PLシール・PLマーク・警告ラベルとも呼ばれる。 通常の使用の範囲に限定せず、想定しうる事象を幅広く検討した上で、必要とされる警告・表示を選択すべきと言える。 ■対策(2):安全性に配慮した設計・製造を徹底する 「製造上の欠陥」や「設計上の欠陥」を防ぐためには、安全性に配慮した設計・製造が欠かせない。以下のような取り組みが必要になるだろう。 ・過去の事故事例を参考にした安全水準に基づく設計・製造 製造ラインの保守管理 製造物や外注した部品・原材料の徹底した検品 生産設備の故障によって、製品不良が発生することもある。予防保全と事後保全を併せて行うことが大切だ。再発防止につなげるには、故障した機械や設備は修理を行うだけではなく、事後保全の実施が求められる。 ■対策(3):損害発生時の賠償リスクに備える どれほど注意を払ったとしても、製造物に欠陥が生じるリスクをゼロに抑えることは難しい。そのため、PL保険への加入や対応マニュアルの作成などの対策によって、損害発生時の賠償リスクに備える対策も有用である。 PL保険とは、製造物の欠陥により消費者に損害が生じ、事業者が損害賠償責任を負った際の費用を補償する保険だ。具体的には、次のような費用を補償してもらえる。 ・被害者への損害賠償金:治療費や休業損害等の損害賠償金 ・訴訟費用:弁護士費用も含む訴訟費用 ・緊急措置費用:応急手当や護送に必要な費用 ・求償権保全・行使費用:他の製造責任者への求償費用 ただし、「第三者の身体障害や財物損壊を伴わない経済損害」等については保険金支払いの対象外となる。PL保険によって、すべての費用をカバーできるわけではない点には注意が必要だ。 万が一、製造物の欠陥等によって事故が起きてしまった場合、製造業者は賠償責任を負う恐れがある。企業は製造物責任法(PL法)について理解を深め、必要な対策を講じておくことが重要だ。