製造物責任法(PL法)とは?わかりやすく解説、「損害賠償金」支払った10社の事例紹介
何を立証すれば「賠償責任」逃れる? PL法の2つの免責事由
製造業者等が製造物責任を負う場合であっても、当該製造業者等が一定の事項を立証すれば、賠償責任は問われない。PL法では、具体的な免責事由として以下の2つを規定している。 ■PL法の免責事由 ・(1)開発危険の抗弁 製造物を引き渡した時点における科学又は技術知識の知見によっては、欠陥があることを認識することが不可能であったこと ・(2)部品・原材料製造業者の抗弁 部品・原材料の欠陥が、専ら当該部品・原材料を組み込んだ他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示のみに起因し、欠陥の発生について過失がなかったこと (出典:e-Gov法令検索「製造物責任法」) 「開発危険の抗弁」の「科学又は技術に関する知見」とは、諸学問の成果を踏まえて当該製造物の安全性の判断に影響を与えるような世界最高水準の科学知識または技術知識のことであり、その時点で入手可能なものの総体を指す。 科学技術に関する知見に照らして認識できなかったという主張立証は困難を極めることもあり、本記事執筆時点において、開発危険の抗弁によって免責が認められた裁判例は存在しないのが実情だ。 「部品・原材料製造業者の抗弁」を免責事由とするには、従った指示が欠陥の主たる原因または唯一の原因であり、部品製造業者が無過失であることが求められる。そのため、部品・原材料製造業者が設計上の指示に従った場合、欠陥が発生することを予見できなかった、もしくは欠陥の発生を回避できなかったことを主張立証しなければならない。 ■どんな時に時効になる? 2つのパターン PL法における損害賠償請求権には、次に挙げる2種類の時効がある。 ■損害賠償請求権、2種類の時効パターン ・(1)被害者またはその法定代理人が、損害および賠償義務がある者を知ったときから3年間(損害が人の生命または身体に関する損害(=財産以外の損害)である場合は5年間)が経過したとき ・(2)その製造業者が当該製造物を引き渡してから10年を経過したとき (2)の「製造物を引き渡してから10年」の起算点は、消費者の手に渡ったときではなく「製造業者等が製造物を引き渡したとき(製造物を流通させたとき)」となる。また、一定の潜伏期間が経過してから症状が現れる損害等のケースでは、引き渡したときではなく「その損害が生じたとき」が起算点になる。