製造物責任法(PL法)とは?わかりやすく解説、「損害賠償金」支払った10社の事例紹介
PL法の対象となる製造物とは
PL法は、すべてのモノが対象になるわけではない。以下の3つの要件を満たす製造物が同法の対象となる。 ・有体物である 動産である 製造または加工されている ここでは、同法の対象となる製造物について解説する。 ■ポイント(1):製造または加工された「動産」かどうか PL法では、製造または加工された「動産」を対象物と定義している。具体的には、人為的な操作や処理が加えられ、引き渡された「不動産以外の形のあるもの」を指す。 【例】 実際には、個別の判断が必要だ。たとえば、不動産を構成するエレベーターは、製造業者などから引き渡された段階では動産であったとみなされ、その時点において存在した欠陥が原因で引き起こされた損害について製造物責任を問われるケースがある。 またソフトウェア自体はPL法の対象から除外される一方、ソフトウェアを組み込んだ製造物については同法上の「製造物」に該当する可能性がある。その場合、ソフトウェアの不具合を原因とする事故を起こしたケースでは、その製造物に欠陥があるとして損害賠償責任が認められることがある。 ■ポイント(2):「製造」と「加工」の違いは? PL法の対象となるのは、「製造または加工された動産」である。 このうち「製造」とは、主に原材料に手を加えた上で新たに作られた物品のことを言う。基本的には、製品の設計・加工・検査・表示に至るまでの一連の行為を指す。 「加工」とは、動産を材料とし、その本質を保持した上で、工作により新たな属性を付加し、価値を加えたものを意味する。加工に該当するかどうかは、個々の事案の下で諸般の事情を考慮して、社会通念に照らして判断される。 【例】
どんな事業者がPL法の責任を負う? 見極め方とは
PL法では、賠償責任を負う対象となる者を「製造業者等」として、以下のように定義している。 ・■賠償責任を負う対象「製造業者等」に該当する事業者 ・当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者 ・自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者 ・当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者 (出典:e-Gov法令検索「製造物責任法」) ポイントは、「製造物の欠陥創出に関わったかどうか」だ。たとえば、製造に一切関わっていない設計事業者は製造業者等には当たらない。 一方、自ら製造物の欠陥を生み出していない輸入業者は、製造業者等に含まれる。外国の事業者に一般消費者が訴えを提起するのは難しく、輸入業者は国内市場に危険のある製造物を供給したとも捉えられるためだ。 「業として」とは、反復継続していることを意味する。必ずしもその行為が利益目的である必要はないため、無償で製造している事業者でも製造業者等に該当する可能性がある。