ウクライナの家庭料理を提供するカフェ、大阪にオープン…避難民らの居場所へCFで資金提供
ウクライナからの避難民らが作る同国の家庭料理を提供するカフェが今月、大阪市内にオープンした。ロシアによる侵略から19日で1000日。避難生活が長期化する中、生活費や医療費の公的な支援の終了期限を迎える人もおり、将来への不安や孤独感を募らせる。日本人とも交流し、避難民らの支えになる「居場所」を目指す。(福永正樹)
2度の手術
大阪市中央区の古民家風の建物2階にある「KUA cafe(クア・カフェ)」。在日ウクライナ人らが設立した一般社団法人「関西ウクライナ友好協会」(KUA、大阪市)が今月5日にオープンし、従業員として避難民3人が働く。
12日夜、煮込みスープ「ボルシチ」やウクライナ風ギョーザ「ヴァレニキ」などウクライナの家庭料理のディナーコースを日本人5人のグループが楽しんでいた。その一人(54)は「想像以上の味。日本人の口にも合い、本当においしい」と笑顔を見せた。
料理を担当したのは、南部ミコライウ出身のイリーナ・ミハルコバさん(63)。侵略直後の2022年4月、大阪市で暮らす長女のヴァレリヤ・ネブスカさん(43)らを頼って避難してきた。
言葉がわからず、買い物するのも一苦労。慣れない生活で体調を崩し、2度手術をした。医療費は大阪市による国民健康保険料の免除で助けられていたが、免除は今春で2年間の期限が切れた。日本財団(東京)が避難民1人あたり年100万円を支給する生活費支援も来春に3年間の期限を迎える。
今後どういう支援を受けられるかはまだわからず、不安が募る。それだけに「カフェは精神的にも楽に働け、本当にありがたい」と話す。
ミハルコバさんは戦闘が終わったら帰国するつもりだ。毎日、故郷の友人にSNSで連絡を取り、安否を確認しているが、ロシアによる攻撃は激しさを増している様子で先が見通せない。「一日も早く戦争が終わってほしい」と訴える。
迫る期限
同協会は昨年1月に設立。避難民からの依頼を受け、病院や役所に通訳として同行するなど生活全般を支援するほか、相談会や交流イベントも開いてきた。