7年半ぶり鹿島復帰のDF内田篤人は大逆転のW杯代表入りを果たせるのか?
最後にピッチに立ったのは昨年9月。筋肉系のけがなどはあったものの、その後はしっかりと練習を積めているという日々に対する手応えと、現実との距離がますます広がっていたときに届いたのが、生え抜き選手の帰還を望むアントラーズからのオファーだった。 年が明けた2日にウニオン・ベルリン、3日はアントラーズから完全移籍がそれぞれ発表される。後者の公式ホームページには、内田のこんなコメントが掲載されている。 「やはり!鹿島へ帰ってくることになりました内田篤人です。2010年にシャルケへ移籍した時から、また鹿島でプレーしたいという思いは常にあり、ドイツにいる時もずっとアントラーズを応援していました。(中略)当時はチームメイトでも良き先輩でもあった大岩剛監督のもとで、鹿島のために仕事ができるよう全力で頑張ります」(原文のまま) ハリルジャパンのメンバーとして昨年末のEAFF E-1サッカー選手権を戦ったDF昌子源ら6人、右ひざの故障で離脱中のDF西大伍を除く24人で始動したこの日は、午前中にメディカルチェックを実施。内田に関してはチームドクターも総出で、古傷のMRI検査なども実施した。 鈴木満常務取締役強化部長によれば、結果は「まったく問題がなかった」という。 むしろ、シーズンの真っただ中のヨーロッパから移籍してきただけに、オフ明けの選手たちよりもコンディションはいい。調子のよさにいい意味でブレーキをかけながら、2月下旬の開幕を待つ。 体調を万全にした内田の視線の先には、3度目となるワールドカップがあるはずだ。 だが、大逆転で5月に発表予定される代表メンバー入りを果たすには、実績がほぼゼロのままではまず不可能と言ってよかった。ウニオン・ベルリンはシャルケ時代に内田と厚い信頼関係を築いた指揮官、イェンス・ケラー監督を昨年末に解任している。まもなく再開される後半戦においても、状況が好転する可能性は極めて低いと言わざるを得なかった。 だが、鹿島に復帰してピッチに立つ時間が増えるとなると、それらの状況は一転する。 実は、ハリルホジッチ監督自身も、インテリジェンスの高さを感じさせる内田のプレーを高く評価していた。初采配をふるった2015年3月には、チュニジア代表戦で後半途中から、ウズベキスタン代表戦では先発で内田を起用している。 その後は前述した右ひざのけがもあって招集されず、いま現在に至っているが、ワールドカップ・アジア予選を戦う上で必要となったAFC(アジアサッカー連盟)への予備登録選手のなかには常に内田の名前が記されていた。