鉄鋼業界の仕事内容、魅力、やりがいとは?市場動向や将来性、志望動機のポイントも紹介【例文あり】
「鉄鋼業界の仕事内容が知りたい」「鉄鋼業界の動向や今後について把握したい」と考えている人もいるでしょう。リクナビ就職エージェントのキャリアアドバイザーが、鉄鋼業界の構造や鉄鋼メーカー分類、主な職種とやりがい、市場動向、将来性などを解説します。志望動機の書き方のポイントも併せてご紹介するので、業界研究や応募書類を作成する際の参考にしてみましょう。
鉄鋼業界とは
まずは、鉄鋼業界の構造や鉄鋼メーカーの分類について解説します。 ■鉄鋼業界の構造 鉄鋼業界とは、鉄の製造・加工を担う鉄鋼メーカーと、それらの製品を仕入れてさまざまな業界に販売する商社・販売会社によって構成されています。 鉄を必要とする業界は幅広く、自動車やビル、造船などに使われ、道路、鉄道、橋などの社会インフラや、工場で使われる産業機械、石油・天然ガスのパイプラインなどにも欠かせないものです。また、身近なものでは、家電などの電気機器や、食料・飲料などの缶にも使われています。 鉄を製造・加工する方法はいくつかあり、鉄鋼メーカーは「高炉メーカー」「電炉メーカー」「特殊鋼メーカー」に大きく分類されます。原料・製造方法に違いがあるので、それぞれの特徴をつかむことが大事です。 鉄鋼メーカーが作った鉄鋼製品は、鉄鋼メーカー系列のグループ会社や商社・販売会社などに卸すこともあれば、自動車、建設、造船、産業機械などの各種メーカーに直接卸されることもあります。 また、最終的な買い手となる各種メーカーに届くまでには、鉄鋼メーカーから直接、鉄鋼製品を買い付ける一次卸の商社・販売会社からさらに加工業者を経るケースや、特約店と呼ばれる二次卸の商社・販売会社を経るケースもあります。 ■高炉メーカーとは 高炉という設備を使い、鉄鋼製品を生産しているのが高炉メーカーです。鉄鉱石やコークス(石炭を蒸し焼きして炭素の部分だけを残したもの)などの原料から高炭素の鉄を取り出し、不純物を取り除いて鋳造するところまで一貫して手がけます。 高炉は巨大な装置や設備を必要とする装置産業であり、建設や維持に多額のコストがかかるため、基本的に高炉メーカーは大規模かつ資本力がある企業と言えます。 高炉メーカーの鉄鋼製品は、自動車、タンカー、発電所、石油や天然ガスなどの採掘設備やパイプライン、道路・鉄道・橋などの基礎構造、ビル、家電まで、さまざまな業界で利用されています。 ■電炉メーカーとは 電炉メーカーは鉄スクラップ(くず鉄)などを原料とします。電気炉という設備で鉄スクラップを溶かし、不純物を取り除いた後、普通鋼材を製造します。 これらは、主に建物や乗り物などの骨格部分などに使われ、土木・建築工事における基礎的な資材となっています。高炉メーカーと比較すると、電気炉の建設や維持コストは低いと言えるでしょう。 また、電炉メーカーは二酸化炭素排出量が比較的少ない生産方式を実現しており、不要になった鉄スクラップをリサイクルする企業もあります。 ■特殊鋼メーカーとは 電炉メーカーと同じく、鉄スクラップを原料とし、電炉で溶解する製法ですが、マンガン、ニッケル、クロムなどのレアメタルを加えることで、特殊な機能を持たせた鋼材を作ります。 鉄に添加するレアメタルなどの種類や量に応じて、熱に対する強さ、硬さ・強靭(きょうじん)さ、さびにくさ、摩擦・摩耗への強さ、加工しやすさなどの特殊な性質が生まれます。 これらの特殊な性質を持つ鋼材は、航空機や船舶、鉄道などの輸送機や、パソコンやスマートフォンなどの情報機器、発電所や工場の施設・機器、医療機器など、幅広い業界で使われています。