「もう終わりにしてください」43歳で子宮頸癌が発覚した娘に何ができるか考え続けて…「後悔はない。これ以上はできないくらい、やり尽くした」
「お父さん、お母さんの子どもでよかった」という娘の言葉に、「私たちはずっと一緒におるよ」とこたえました。そして、主治医に鎮痛剤を打ってもらい、娘は穏やかに眠りにつきました。2日後に息を引き取りました。 46歳、太く短い人生でした。人の何倍も生きたのではないでしょうか。 結果はいいものではなかったけれど、娘にとっては幸せな最期だったと思います。自分の力で人生を切り開いていった娘は、「お父さんの庭を見ながら眠りたい」と、死に方も自分で選びました。 最期はつらかったです。そのときは、涙が出ました。でも、それ以降、涙は出ませんでした。後悔はありません。これ以上は私にはできないくらい、やり尽くしたと思います。 今でも、私の中で娘は生きています。「ずっと一緒にいる」と約束しましたから。 娘が元気だった頃、離れて暮らしていたときより、そばにいるように感じています。しょっちゅう娘と会話しています。料理をしていると、その辺にいるので、「味はどう?」と聞くと、「ちょっと辛いね」とか「おいしいよ」などと返事が返ってきます。 もちろん、本当の声が聞けたら、触れることができたらと思いますが、それはかなわないことだから……。 ※本稿は、『80歳。いよいよこれから私の人生』(多良久美子:著/すばる舎) の一部を再編集したものです。 (撮影=林ひろし)
多良久美子
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