え!?トマトのわき芽はすぐに取らないの!?
自然と野菜のチカラを最大限に生かした有機栽培を、佐倉朗夫さんに学ぶ「里山菜園 有機のチカラ」。4月からスタートしたこの新シリーズでは、佐倉朗夫さんを講師に、トラウデン直美さん、宮崎慶太アナウンサーが有機栽培を学びます。 『やさいの時間』4・5月号では、中玉トマトとバジルを同じ畝(うね)で一緒に育て、畑の生き物を多様にし、生き物たちの営みに頼って、病害虫リスクを減らす工夫を紹介しました。そこでお伝えしたトマト栽培は、ちょっと変わった育て方をしました。その理由は......? ウェブだけで読める「こぼれ話」では、佐倉流・中玉トマトの育て方で大切なポイントを、おさらいします!
わき芽は伸ばしてから取り除く
よくトマトの栽培で、わき芽は小さいうちに取る(かく)と聞いたことがあると思います。しかし佐倉流トマト栽培では、すぐにはわき芽を取らず、残しておきます。じつは植物は茎頂(茎の先端の成長点)部が伸びると、土の中では発根が促進されます。この性質を踏まえて、トマトやほかの果菜類も、わき芽(側枝)はすぐに切り取らずに伸ばしておくのです。わき芽も植物の茎頂部なので、すぐに取り除いてしまうと側根が伸びるチャンスが少なってしまいますから。
主枝と側枝、合わせて4枝を伸ばす
そうはいっても、わき芽を放置したままではジャングルになってしまうので、最終的には元気な側枝3枝と主枝の4枝をまとめて1本の支柱に束ねてまっすぐ上に伸ばしていきます。それらが支柱の高さに達して収穫を終えたら、順次枝元からカットし、それに替わる新しい側枝を選んで、以降も4枝で育てます。7月中旬まで枝の更新を繰り返しましょう。
育てる枝は4本。6月に入り、側枝がある程度伸びたころ、元気のよい側枝3本を選んで、ほかの側枝は元からハサミで切る。つまり、主枝と3本の強い側枝の、合計4本を育てる。
枝を更新し、4本をキープ。手の届かない高さまで育った枝は先端を摘心し、実を収穫後に枝元から切り取る。代わりに、残してあったわき芽から、元気のよい枝を選んで新たに伸ばす。4枝を更新しながら、常に4本残し、熟した実から収穫。