山口県縦断の美祢線、全線運休1年…JR西日本「単独での復旧とその後の運行は難しい」
バス転換警戒
美祢線は10年夏の豪雨でも被災し全線不通となったが、翌年9月に復旧した。事業費約14億円のうち約5億円は県が負担した。一方、JR西は、山口県内で昨年起きた大雨による鉄道への被害について、山陰線は25年度に全線復旧を目指しているものの、美祢線については現段階で復旧費用も明らかにしていない。
効率的な経営や株主への利益還元を重視するJR西は、鉄道のあり方の見直しを各地で進めている。岡山、広島両県を走る芸備線の一部については、改正地域交通法に基づき、再構築協議会の設置を申請。今年、設けられており、今後、国交省、地元自治体、JR西などで鉄道存続かバスへの転換などの結論を出す。
こうした中、美祢線の地元では、JR西からの要請を受け、協議会に公共交通のあり方を議論する検討部会が設置される見通しという。7月に臨時総会を開き、部会設置を決める可能性もある。
JR西の広岡支社長は美祢線についても、「できるだけ早く議論し地域にふさわしい公共交通を実現したい」と語っており、沿線自治体の関係者からは「新たな検討部会では、JR西がバスへの転換などを提起してくる可能性がある」と警戒する声も出ている。
◆JR美祢線=JR山陽線・厚狭(あさ)駅(山口県山陽小野田市)と山陰線・長門市駅(同県長門市)を結ぶ全長46キロの路線。今年3月に全線開業から100周年を迎えた。沿線には観光地として知られる長門湯本温泉があるほか、厚狭駅には山陽新幹線の駅もあり「こだま」が停車する。