1億円オーバーは当たり前!「911カレラRS 2.7」は役物ポルシェのはじまり…ナナサンカレラでも別格の存在でした
2年にわたるフルレストアでオリジナルの姿に
そこでホフマンは、このクルマをオリジナルの姿に戻すべく、2年間にわたる内外装およびメカニズムのレストアを委託し、その際に発行された多くの請求書と写真が車両に添付されたファイルに残されている。ホフマンはこのRS 2.7を何年か保有し、そののち良心的なエンスージアストに譲ることになる。 そして2014年2月に「The Dare to Dream Collection」に譲渡されたのち、このカレラRSは入念な整備を受け、最高のドライビングコンディションに仕立てられた。 現在では、新車として出荷された時と同じライト・アイボリーに、コードインサートをあしらったブラックレザレットの上に、当時モノのデッドストックを使用したブラックの「Carrera」グラフィックをあしらった、非常に美しいコンディションを保っている。 また、エアコンや電動サンルーフ、パワーウインドウ、LSD、スポーツシート、ヘッドレスト、ELRシートベルト、オートアンテナつきAM/FMラジオなど、ほぼすべてのメーカーオプションが装備された数少ない例のひとつ。ポルシェ本社公認の資料と膨大なヒストリーファイルに加え、ロール状のケースに巻かれた純正ツールキットも付属していた。 「美しくレストアされているとともに、素晴らしいメンテナンスが施され、911カレラRSとして後世に語り継がれるこのクルマは、真のポルシェファンやコレクターがこぞって買い求めるに違いない」。そんな謳い文句を添えて、RMサザビーズ北米本社は70万ドル(約1億970万円)~80万ドル(約1億2540万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定した。 ところで、今回の「The Dare to Dream Collection」オークションは、すべて「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」形式で行われるというのが前提条件。したがってこのナナサンカレラRSも、たとえ入札が希望価格に到達しなくても落札されてしまう「リザーヴなし」で出品されることになった。 しかし、そんな「リザーヴなし」で起こりうるデメリットも、国際マーケットにおける超人気モデルであるポルシェ 911 カレラRS 2.7には無関係だったのだろう。 競売が終わってみると74万7500ドル、日本円に換算すると約1億1720万円という価格で落札されることになったのだ。
武田公実(TAKEDA Hiromi)