令和の新ヒーローは“泣く男”!「癒やされた」の声続出中の話題のマンガとは
命令形より懇願するセリフのほうがSっぽい!
――セリフやモノローグで意識していることはありますか? 橙子はしっかり会話ができるヒロインにしたかったので、相手におもしろいワードでつっこんだり、言葉のキャッチボールが続くように心がけています。とても難しいのですが、できるだけありきたりにならないようにしたくて、毎話頭を悩ませているところです。 一方で、十九川くんは懇願口調を意識しています。「俺のそばにいろ(命令)」ではなく「僕のそばを離れないで(懇願)」の方が、私は雄みとSみとエロみを感じるので好きです(笑)。また品のあるキャラクターとして描きたいので、たとえば驚いた時も「まじかよ!」ではなく、「そんなことって!」としたり、童話や古い洋画の吹き替えのような少しクラシックな雰囲気も意識しています。 ――“初めての社会人モノ”とのことですが、気を付けていることはありますか? “社会人モノだから”といって特別に意識していることはあまりないです。 ただ、私はもっと十九川くんに愉快でおかしい言動をさせたいのですが、「22歳の社会人男性なので……」と初期に何度か編集さんに指摘されたことがあります。なので、いまは“これは22歳社会人男性がしてOKな言動なのか”ということは考えながら描いています。とはいえマンガですし、十九川くんは常人ではないからこそ魅力的なんだ! と、時に強気でネームを切ることも大事にしたいです。
コメディがあるところにラブがある
――読者の方からは、「癒やされた」という声が多いと聞きましたが、桜葉さんが本作で一番伝えたいテーマはなんでしょうか? ハピネスです。幸福とか、純愛といった堅くて真面目なイメージではなくて、ちょっと愉快でダサくてドタバタしている楽しさみたいなものを感じてもらいたいと思って描いています。そして、その楽しさがみなさんの癒やしに繋がればいいなと思います。 コメディがあるところにラブがあると思っているので、どうにかして笑ってもらいたいし、できれば声を出して笑ってもらえるくらいおもしろいワードや流れを描けるように頑張りたいです。 ――最後に読者のみなさんへのメッセージをお願いします。 読んでくださる皆様のおかげで1巻の電子単行本が出ました。 Palcyで連載しましょうと声をかけていただいてから、キャラクターを形にして、1話が通るまでにネームを30回以上描き直し、気づけば1年程の期間を要しました。その間に100回は「もうダメだ……、一生マンガを作れないんだ……」と苦しんだ時期もありましたが、今こうしてコミックスを発売できて、とても嬉しいです。 いただくコメントの多くが「癒やされた」や「笑った」というもので、その言葉に私自身が癒やされて笑顔になっております。本当にありがとうございます! ライバルの君嶋も好きだと言ってもらえることが多くホッとしています。彼にもしっかり愛情を注いで描いております。頑張りますので、橙子と十九川くんに最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
桜葉 ケイ/FRaU マンガ部