泣いたり、堪えたり…歪んだ表情に色気を感じる

（c）桜葉 ケイ『十九川くんが困らせてくる！』／講談社

　――十九川くんはどうでしょうか？　 　十九川くんは、私が思う“一番かっこいい男の子”です。 喜怒哀楽がすべて表に出ていてリアクションが良く、見ているだけで楽しいし一緒にいるとハピネスをうつされてしまうようなイケメン。愉快で明るいけど品もあり、誰もが話しかけやすい雰囲気を持っている男の子というイメージです。 　――彼はハイスペックですが、そのことをすっかり忘れるくらい内面に魅力を感じました。 　嬉しいです！　 見た目のよさやスペックの高さは素敵だと思う反面、だからどうしたとつっこんでしまう自分がいるんです。だから、表面的なものよりもヒロインとの関わり合いのなかで彼がどんな言動をみせるかが、たくさんの方に作品を愛してもらうために重要なことだと思っています。 　 ーーとても感情表現が豊かなキャラクターですよね。ネタバレになるので詳細は伏せますが、恋のライバルの登場で不安になった十九川くんが橙子に泣きながら電話するシーンも印象的でした。 　外ではキチンと大人や常識人をやっているけど、好きな人の前では小学生みたいになっちゃう男の子が大好きなので、このシーンは迷わず浮かびました。ここでの十九川くんの一連の言動が私は完全にキュンなのですが、読者のみなさんにはどう映ったのかドキドキしています。 　私は澄ましてかっこつけた顔よりも、泣いていたり、何かを必死に堪えていたり、困ったり、慌てていたり……そういうある種、歪んだ表情の方が色気を感じるので好きなんです。今後、十九川くんにもさまざまな表情をさせたいなと思っています。 　 ーー1巻の後半で登場する、恋のライバルである君嶋も気になっています！　 　君嶋は、最初は出世がしたくて十九川くんに取り入ろうとするキャラクターとして描く予定でした。でも3話目のネームを送った時に編集さんたちが「かっこいい！」と反応してくれて。紆余曲折あっていまの君嶋が出来上がりました。 　彼は“愛をください”状態なのでかわいそうですが、描いていてすごく楽しいです。逆に十九川くんは“愛されるよりも愛したいマジで”状態なので、一見すると愛に満ち満ちているように感じるかもしれません。でも、彼にも満たされない部分があるので、今後はその部分をしっかり描かなければとドキドキしています。