初戦敗退の悔しさを糧に…Jクラブも注目のストライカー、柳ヶ浦FW八尋馳が目指すは「違いを見せられる選手」
[7.27 総体1回戦 柳ヶ浦高 0-5 帝京長岡高 JヴィレッジP2] 公立中学に所属していた中学時代は地区大会での敗戦がほとんど。トレセンも「一人でどこかに行くのは苦手。人見知り」との理由で一緒に受けた友だちが落選した時点で自身も辞退していた。「中学校で楽しくエンジョイして(サッカーを)終わろうと思っていた」が高校に入ってから、急成長を遂げ、今ではJクラブからも注目される存在となっているのが柳ヶ浦高(大分)の10番を背負うFW八尋馳(3年=福岡県京都郡苅田町立新津中学校サッカー部)だ。 【写真】影山優佳さんが“人気女優”と代表戦を現地観戦「可愛すぎる」「勝利の女神が2人」 武器は50mを6秒台前半で走る俊足と「どのスポーツも基本的にできる」と口にするアスリート能力の高さ。身長は173cmと大柄ではないが、バネがあるため、大柄な選手と対峙してもそう簡単には負けない。そうしたストライカーとしての可能性を帝京長岡高(新潟)相手にも示した。 「こういう大会は(プロや大学の)スカウトがたくさんいるので、アピールしたかった」と話す通り、インターハイは卒業後の進路をつかむ格好の舞台。試合序盤からスピードを生かした仕掛けを披露した八尋は前半6分にMF松浦政宗(3年=BeetleSportsClub)の落としから、ファーストシュートを放つ。32分には左クロスからシュート。後半4分には左右への揺さぶりから、ゴール前に入ったボールを合わせたが、相手DFに阻まれて得点には至らない。 チームとしても粘り強い守備を続け、格上ともいえる相手と善戦を繰り広げたが、後半11分に先制点を許してからは失点を重ね、終わってみれば0-5。「九州総体でもそうだったのですが、後半に軽い失点をした後に立て続けに失点してしまうところがチームとしての課題。そこがまた出てしまったので、反省材料として持って帰って冬に向けて頑張りたい」と八尋は口にした。 個人としても満足していない。随所で可能性を感じさせるプレーを見せ、チーム最多となる4本のシュートを放ったが無得点。「早く試合を決められる選手になりたい。個人として、もっとやらなければいけないと思っていた。“やれるな”ではなく、違いを見せられる選手になりたいと思っていたので、今日は個人としてもチームとしても駄目。プロ入りへのアピールを意識していたのですが、こんなのではダメ」と唇を噛んだ。 4月下旬にはJ1クラブの練習に参加。「プロと高校生は全く違った。正直、何もできなかった。守備強度のところもそうですが、1本のパスもそう。1個1個の質が凄く高くて、まったく違った。ラストパスやシュートもそう。そうしたところでの質で勝負が決まるのがサッカーだと思う。そこの質やスピードを上げて行かなければいけないと思い、チームに還元しようと思っていた」。 2月に行なわれた九州新人大会ではまだ幼さを感じたが、注目度が高まり、高いレベルを経験するうちにサッカーに対する欲が出てきたように感じる。「チームの中でも県内でも高校生年代では違いを見せられるような選手にならないといけない」と意気込む要注目ストライカーは、インターハイで得た経験を生かし、冬の選手権で大暴れするつもりだ。 (取材・文 森田将義)