渡辺謙が“脚本を読んでひっくり返った脚本家”とは?「なんじゃこりゃ!?と。ワクワクしましたよね」【日曜日の初耳学】
杏がVTR出演「心の底から“すごいな”と」
29歳で急性骨髄性白血病を発症。克服後、40歳以降は脇役に回ることも増えたが「あえてそうしたんです。40歳を機に、主役じゃない役をやりますと事務所にも言って」という。 当時、渡辺が口にしていた言葉が<病気の後はおまけの人生>。おまけの人生だからこそ、脇役として挑戦する道を選び、心に再び火をつけたかったという。そして出会ったのが、ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(2000年)で演じたコミカルな警察署長。宮藤官九郎が手掛けた勢いのある脚本を読んで“ひっくり返った”という。 「 三谷(幸喜)くんもそうなんですよね。僕、彼が初めて書いた2時間ドラマに出ているんですけど、脚本を読んでひっくり返ったのはその2人ですね。ソファからずり落ちるくらい…なんじゃこりゃ!と。ちょっとワクワクしましたよね」と面白そうに語る。 55歳の時には、ブロードウェイミュージカル『王様と私』に挑んだ。セリフも歌もすべて英語で上演時間3時間の舞台を週8回こなすという過酷な挑戦。加えてこの時期に胃がんが判明するが、手術を経てブロードウェイの舞台に戻り、公演を大成功させてトニー賞にノミネートされた。 番組では、娘で俳優の杏がVTR出演。渡辺の『王様と私』への挑戦について「アメリカ公演を見たときに、初めて心の底から“すごいな”と思ったんですよね。自分が演じるという仕事を始めたのもありますし、どれだけ難しいことか、想像ですけどわかるようになったときに、すごいことをしているんだなと」としみじみ語り、あらためて尊敬の念を滲ませる場面も…。 60代になった今も、渡辺の挑戦は続いている。12月20日(金)公開の映画『ライオン・キング:ムファサ』で「ずっとやりたかった」というディズニー作品に初参加。冷酷な敵ライオン“キロス”の日本語吹替えを担当している。
「“興味の丈”をたくさん取っておきたい」
プライベートでは熱狂的な阪神ファン。暇を見つけては甲子園のバックネット裏で観戦している。あいみょんの大ファンでもあり、ライブに足しげく通う。そして、孫たちの良き“じいじ”でもある。 その生活力の高さは、杏も「私よりも家事能力とか段取りがすごい。私が子どもたちを寝かせに部屋にこもったその1時間にすべて台所もきれいになり、残りのものでつまみまで作り、犬の散歩までし、“なんて便利なんだ”と(笑)」と冗談まじりに語ったほど。孫たちのために『天空の城ラピュタ』のパズーのラッパシーンを完コピしたほのぼの動画もテレビ初公開され、番組レギュラー陣を驚かせた。 「仕事ができているのは家族のおかげ」としみじみ語り、「仕事をする上で大切にしていることは?」の問いには、「少なくともここから30年、40年仕事ができるわけではないので、いつでも需要が来るような、体もマインドも含めてですけれど、そういうスタンスでいたいですし、“興味の丈”みたいなものはたくさん自分の中で取っておきたいと思っています」と真摯にコメント。常に挑戦を続ける世界の“ケン・ワタナベ”の人生哲学が十分に垣間見えるインタビューとなった。 (MBSテレビ「日曜日の初耳学」2024年12月15日放送より)