「しょうが焼きと豚しゃぶ、どちらが栄養価が高い?」「ヨーグルトを食べるべき時間帯は…」 気になる食の疑問を専門家が徹底解説
「体内時計に反して栄養を取っても…」
〈君が何を食べるか言ってみたまえ。君が何者であるかを言い当てよう〉(ブリア=サヴァラン『美味礼讃』)。何をどう食べるか、この難問に関する記事を週刊新潮は数多く掲載してきた。今回はそのエッセンスを凝縮。12人の専門家が説く、健康的な「最強の食」決定版。【前後編の後編】 【写真を見る】認知症に効く“意外”な料理とは ***
前編【「日本人が骨折しにくい理由は大豆」「認知症予防に豚汁」 食の最新知見を専門家が徹底解説!】では、認知症予防に効く食材や、カルシウム摂取量が少ないにもかかわらず日本人が骨折しにくい理由などを紹介した。 続いては、健康維持・促進のための「正しい食べ方」を紹介。 まずは、「体内時計と健康」についての専門家である早稲田大学名誉教授の柴田重信氏が、「いつ」食べるかの重要性を説く。 「私たちの体にはあちこちに体内時計が備わっていて、それらは互いに連関し、美しいハーモニーを奏でて体の調和を保っています。そのため、体内時計に反して栄養を取っても効果は減殺されてしまうのです」
「カルシウムを取るなら夜」
「日本時間栄養学会」の会長を務めるなどして、「時間栄養学」の研究をけん引してきた柴田氏が続ける。 「例えば、骨の元となるカルシウムが豊富な牛乳やチーズやヨーグルト、あるいは骨の合成を促進するビタミンKを多く含んだ納豆は、骨粗鬆症対策の観点から重要な食材であることは間違いありません。では、これらを1日3食のうち、どこで食べるのが最も効果的なのか。答えは夕食です。なぜなら、夜のほうが朝よりカルシウム吸収率が高く、骨の形成も主に夜に活発になるからです」 なお納豆に関して言うと、 「タンパク質を取ると、体内時計をしっかりと前に進める役割を持つインスリンと似た『インスリン様成長因子1(IGF-1)』が分泌されます。食事によって体内時計を前進させられるのは朝食だけなので、その効果を期待するのであれば、朝食で納豆を取ることも理に適っているといえます。要は目的によって、取るべき最適の時間帯は変わってくるのです」(同)