「しょうが焼きと豚しゃぶ、どちらが栄養価が高い?」「ヨーグルトを食べるべき時間帯は…」 気になる食の疑問を専門家が徹底解説
バランスの良い食事の指標は
そこで、女子栄養大学栄養学部教授の新開省二氏が、バランスの良い食事を心がけやすくなる指標について解説する。新開氏は、同大の前に在籍していた東京都健康長寿医療センター研究所において、チームで「多様性スコア(DVS)」というガイドラインを作成している。 「かつて厚生省は『1日30食品を目標に』というスローガンを掲げていましたが、30品目は多過ぎる、毎日そんなにカウントしていられないとの批判もあったようで、このスローガンはいつの間にか消えてしまいました。いくら理想的であったとしても、絵に描いた餅の指標では意味がないということがいえるでしょう。そのため、DVSでは実用性を重視しました。ポイントは『食品』ではなく、大まかな『食品群』をカウントするガイドラインにしたことです」 具体的には、DVSでは以下の10の食品群のうち、毎日9食品群を食べることが推奨されている。 「(1)魚介類(さ)、(2)油を使った料理(あ)、(3)肉(に)、(4)牛乳・乳製品(ぎ)、(5)緑黄色野菜(や)、(6)海藻類(か)、(7)いも(い)、(8)卵(た)、(9)大豆・大豆製品(だ)、(10)果物(く)。『さあにぎやか(に)いただく』というフレーズで覚えてください。毎日9食品群以上の摂取が難しければ、少しずつでも摂取する食品群の数を増やし、まずは7食品群を目指していただければと思います」(同)
コラーゲンに関する「残念な真実」
何をいかにして食べるか、さまざまな情報に気を配り、あとは実践あるのみ。しかし、健康効果ありと信じ込んで食べていたものが実は効果が期待できなかったり、その逆もあったりと、至る所に「食の盲点」は存在する。ここからは、案外知らない「食の新常識」をお届けする。 「コラーゲンたっぷりのすっぽん鍋を食べたら肌がプルプルになってよかった。美容に気を使っている人で、そう実感したことがある人は少なくないかもしれません。しかし、水を差すようで恐縮ですが、食品から摂取したコラーゲンが人体において美容効果を発揮するという信頼度の高い証拠は多くありません」 と、分子栄養学を専門とする女子栄養大学栄養学部教授の加藤久典氏は指摘する。 「コラーゲンは繊維状のタンパク質であり、食品中に含まれるタンパク質は胃腸でアミノ酸、もしくはアミノ酸数個程度からなるペプチドにまで分解されて小腸で吸収されます。つまり、すっぽんを食べてもコラーゲンが直接肌に送られるというわけではないのです」 美肌を求める女性にとっては“残念な真実”といえそうだ。 「ただし、コラーゲンが途中まで分解された小さなペプチドに何らかの効果があるという報告は多くあるので、今後の研究の発展が望まれます」(同)