竹田麗央はなぜ、今季大躍進を果たしたのか? 永久シードプロがその秘密に迫る
竹田さんがオフに「死ぬほど練習した」というアプローチですが、その成果は数字にも表われています。JLPGAが発表しているリカバリー率において、2022年の彼女は規定試合数に達していないので推定になりますが、おそらく88位相当。2023年は55位でしたが、今季は現在15位まで上昇しています。 体格にも恵まれている竹田さんは、「(自分は)飛距離は誰にも負けたくない」という思いを持っているようです。その意識の強さは、クラブからも見て取れます。ドライバーのシャフトはフレックス(硬度)Xと男子並みにハードなものを使用しています。女子ではなかなか使いこなせないスペックのドライバーで、クラブ担当者が「女子のなかでも一番ハードです」と言っていました。 彼女のスイングの特徴は、トップからの切り返しで体重を右から左にしっかり乗せながらダウンスイングでタメを作り、フォローでは左の肩甲骨を引き寄せながらクラブを大きく振り抜いていく、大きなスイングにあります。ドライバーをハードスペックにしたことで、この体を大きく使うスイングに軸の安定が加わり、飛距離がより伸びて、フェースコントロールもしやすくなったということです。 現在のドライビングディスタンスは、わずかな差で穴井詩さんに次ぐ2位ですが、彼女のスイングを見ていると、7~8割くらい余力を残して振っている感じを受けるので、本気で振ったら300ヤードくらい飛ぶんじゃないか、といった期待感さえあります。 技術的にはこういった、強みであった飛距離がさらに伸びたことと、課題だったアプローチショットの確率が上がったこと。それが、今季躍進のポイントかなと思います。 今後の課題は、サンドセーブ率(70位)の向上でしょうか。海外でも通用する実力はすでに持っている感じがしますが、バンカーショットの確率をもう少し上げられると、海外での可能性は一段と増すと思います。 竹田麗央(たけだ・りお/21歳)2003年4月2日生まれ。熊本県出身。ツアー通算3勝。2024シーズン、メルセデス・ランキング1位。ドライビングディスタンス2位(平均飛距離262.83)。身長166㎝。血液型O。
古屋雅章●取材・構成 text by Furuya Masaaki