「意外とガチでやってます」国税局が主催する日本酒コンテストは想像以上に熱い戦いだった 全国の酒蔵が技術の粋を競う鑑評会、車で例えるなら「F1の世界」!?
▽コロナで存在意義考えた…。今年の最優秀賞に輝いたのは 1カ月以上にわたる審査を終えた11月8日、関東信越国税局で表彰式が行われた。最優秀賞は純米吟醸酒部門が亀田屋酒造店(長野県松本市)の「アルプス正宗」、純米酒部門は第一酒造(栃木県佐野市)の「開華」、吟醸酒部門に玉川酒造(新潟県魚沼市)の「越後ゆきくら」がそれぞれ選ばれた。 代表としてあいさつに立った玉川酒造の風間勇人代表は、長い新型コロナウイルス禍で思うように酒造りができず酒蔵としての存在意義を考えたという日々をこう振り返った。 「お酒は飲まなくても命を落とすことはありません。しかし、お酒は人にしか味わうこともできません。楽しい時やうれしい時、つらい時や悲しい時。人の心に寄り添えるお酒を作ることが、私たち酒蔵の役割だと考えました。人の心を豊かに、夢を与える酒造りを追求し、日々精進していきたいと思います」。逆境を乗り越え、技術を磨き続けて栄冠を得た酒蔵に会場からは惜しみない拍手が送られた。
健康志向の高まりもあり、日本酒の国内の消費量は、ピークだった1970年代の約3分の1に落ち込むなど業界が置かれている状況は依然として厳しい。そんな中でもお酒を楽しく飲める時を待ちながら技術を磨いてきた人々を思い、この冬、杯を傾けてみるのはいかがだろうか。