ショートドラマ人気の「必然性」 背景にある「新しい消費スタイル」とは?
ショートドラマの課金 「いま見たい欲」を満たす
インスタントで技巧を凝らしていない動画がSNSに溢れている中で、テレビで放送されているドラマや映画に比べたら質は落ちるが、他のネット上のコンテンツより質の良い動画が紛れていたら気になってしまうのではないだろうか。 しかもBUMPやDramaboxがプロモーションとして投稿しているほとんどが、ドラマの切り抜きであり、言い換えればハイライト(面白い)の部分である。また、分かりやすいという意味では冒頭で挙げた『辰年!故郷への華麗なる帰還』ように、ほとんどの作品がベタで、予定調和的で、展開が予想できるものであり、視聴する側もストレスなく気楽に楽しめる作品も多い。 一方で、縦型動画の性質やSNSの仕様で動画がリピートされることを意識して作られたコンテンツなども存在する。それらの性質を活用した動画ならではのエンターテインメント性を提供している作品も多く、他のメディアでは体験できない視聴経験ができる点も魅力だ。 emole代表取締役の澤村直道氏は「いかに短時間で強い刺激を得られるかが最大の関心事。時間に対する心理的なハードルは以前とは比べものにならないほど上がっている」と、日経クロストレンドの取材で答えている。 その中でも縦長のスマホの画面を生かし、縦にスクロールしながら読める「ウェブトゥーン」は1話ずつ購入でき、短い時間で手軽に読める点が若者の心をつかんでいる。確かに大手商業誌で成功しているマンガを購入するのと、通常待てば無料で読めるウェブトゥーンの続きを購入する意識決定は、同じマンガを買うであっても異なるだろう。 BUMPにおいても、1話97円で「話売り」する従量課金制が基本だが、最初の3~4話は無料で視聴でき、その後は23時間経過するか、1日3回まで広告を見ることで無料視聴が可能だ。待てなかったり、広告を見て無料になる回数がなくなったりしたユーザーが、その日のうちに見たいとお金を払う。といったようにマンガアプリと同様のビジネスモデルが導入されている。 【訂正:2024年10月28日午後5時00分 初出で「1話67円」と記載しておりましたが、「1話97円」に訂正いたします。】