京阪天満橋直結のランドマーク「OMM」の存在感 アパレルの集積地として建設された巨大ビル
京都と大阪を結ぶ京阪電気鉄道の京阪本線は1910年に開業した。現在は出町柳と淀屋橋の間を座席指定特別車両の「プレミアムカー」を連結した特急・快速急行が頻繁に行き来している。 【写真60枚を見る】現在は全面ガラス張りだが、開業時は異なる外観だった。OMMの建設中の貴重な写真、一般開放していない屋上からの眺めも 大阪メトロ御堂筋線と接続する淀屋橋駅へ乗り入れたのは開業から半世紀以上を経た1963年。それまで大阪方のターミナルは2駅東の天満橋だった。 ■旧天満橋駅跡地に建つOMM かつて天満橋駅は、大川(旧淀川)に架かる天満橋の南東に位置する地上駅だった。1963年4月16日、淀屋橋延長線の営業開始に伴い、橋の南西に移転して地下駅となった。その上に現在は「京阪シティモール」が入る駅ビルが建っている。
一方、地上駅があった場所で存在感を放っているのが賃貸ビルの「OMM」だ。周囲の景色を映すガラスのカーテンウォールが印象的な巨大建造物には京阪ホールディングスの本社も入っている。 【写真】OMMの建設中の貴重な様子。現在は全面ガラス張りだが、開業時は異なる外観だった。一般開放していない屋上からの眺めも(60枚) 京阪電気鉄道が2011年に発行した社史『京阪百年のあゆみ』は、旧天満橋駅の跡地について「京阪電車開業以来、大阪側のターミナル駅として長年にわたって利用されてきた駅であり、京阪電鉄にとって、創業から戦後にいたる困難な時期をともに歩んできた思い入れの深い場所であった」と位置づける。
再開発をするにあたって、当時の社内ではボウリング場などのレジャー施設や水族館を建設する計画も浮上したという。最終的には大阪の繊維卸業が集まる船場地区の過密を解消する必要性から卸センターが建設されることになった。 大阪市や京阪電鉄、竹中工務店、関西電力、大阪瓦斯などが出資して株式会社大阪マーチャンダイズ・マートを設立。ビルは1969年8月、約2年半の工事を経て完成し、営業を開始した。地下4階、地上22階、延床面積13万1400㎡で「建設当時、大阪のみならず西日本最大のビルだった」(『京阪百年のあゆみ』)。