若者たちがハマる「整形コンテンツの沼」 SNSでインフルエンサーや美容整形外科医の動画を視聴するうちに「自分は美しくないと思うように…」
近年、耳にする機会が増えた「ルッキズム」。外見至上主義を指す言葉だが、一昔前の価値観というだけでなく、いまの若者たちのあいだで話題に上がることも多い。そのきっかけの一つとなっているのが、TikTokやX(旧Twitter)、YouTubeなどで増加している、いわゆる「整形コンテンツ」の数々だという。 【画像】美しい顔の特徴とされるEライン。ここから唇が出ていると「口ゴボ」と呼ばれることも
東京の私立大学に通う女性・Aさん(20歳)は、美容外科医や整形経験者などが発信するコンテンツを視聴しているなかで、次第に整形へのハードルが下がったと打ち明ける。 「私は地方から東京の大学に上京したのですが、大学入学前に目を二重にするプチ整形と、あごのヒアルロン酸注入をしました。併せて10万円しないくらいですね。もともとの顔を知らない大学の友人には、まったく気が付かれていないと思いますが、個人的には満足しています。 そもそも整形に興味を持ったのは、インフルエンサーのSNS発信でした。彼女たちは自分がおこなった施術と担当医を教えてくれたり、『金ドブ』(お金をかけた意味がなかったもの)とそうではない施術を丁寧に説明してくれたりするんです。 SNSはおすすめ機能で関連動画が流れてくるので、整形動画から美容外科医の動画が紹介されたり、キャバ嬢さんの整形後のダウンタイムを紹介する動画が出てきたりと、美容整形動画ばかりになる。YouTubeショートもTikTokも、そういうコンテンツばっかりになるんです(笑)。私と同じような状況の子はとても多いと思いますよ」(Aさん)
「自分の顔のパーツが『美しくない』と思うように」
私立大学に通いながら夜は郊外のガールズバーで働いている女性・Bさん(21歳)は、これらのコンテンツを視聴しているうちに、自身の容姿に強いコンプレックスを抱くようになったと語る。 「私はアイドルの推し活のためのお金が必要なので、大学のサークルの友人と一緒にガールズバーで働いています。店では可愛い子の方が単価も上がるので、やっぱり『世の中ルッキズムだなあ』って感じますね。職種柄か分かりませんが、キャストの子たちはみんな仕事の前にスマホを見ながら『ここの整形したい』『鼻フル(※鼻全体の整形)やりたい』『あご下の脂肪吸引したい』などと話しているんです。 そういう時に見ているのが、キャバ嬢さんの整形ダウンタイム動画とか、整形を公表しているインフルエンサーの動画、あとは“ヒアルロン酸が得意”とか“鼻が得意”、“イケメン美容外科医”などとうたっている、美容外科医のアカウントですね。最近はそういう医者のTikTok動画がすごく多いんです。 私もこういう動画を見ているうちに、だんだん自分の顔のパーツが『美しくない』『ここは直さないといけない』って思うようになったんですよ。バイトでお金が貯まったら、就職する前に整形したいなって本気で考えています」(Bさん) かつては秘められることも多かった美容整形の話題。最近では情報発信をする美容系インフルエンサーや美容外科医などが増えたことで、情報に触れる若者も増えている。そうしたなかで、ルッキズムが助長され、自身の容姿にネガティブな考えを持つようになったりする人たちもいるようだ。