【毎日書評】どうしたら社会人でも勉強ができるのか?ポイントは「言語化」と「ロールモデル」
勉強から得られるリターンは、世間で認識されている以上です。キャリアアップや社会的評価はもちろん、夢の実現、人間関係の拡大、恋愛の成功など、人生に「上昇スパイラル」を起こすきっかけをも与えてくれます。(「はじめに」より) 『夢を先送りしない勉強法』(石黒由華 著、技術評論社)の著者がこう主張するのは、偏差値30台の勉強嫌いだった自分自身が、独自の勉強法を確立して東大に逆転合格したという経験を持っているから。社会に出てからも、「人生がうまくいっている人は必ず勉強している、勉強し続けている」と実感したのだそうです。 学歴や資格、専門知識やスキルを身につければ、昇進やキャリアアップ、転職に有利になるはず。また、実務処理をスピードアップする知識やスキルを習得すれば、残業時間を大幅に削減することも可能。また、人間関係も充実するなど、「勉強力」自体が一生ものの財産になるというのです。 とはいえ、「いまの自分にうまく勉強できるか不安」だと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。けれども、著者は「そんなことはありません」と断言しています。 なぜなら、勉強成果を決めるのは、「頭の良さ」「勉強時間」「年齢」などではなく、結局は「勉強法」に尽きるからです。(「はじめに」より) そこで本書において著者は、自身の体験によって得た“勉強の成果を飛躍的に高める「仕組み」”を解説しているのです。ポイントは、「どうすれば、ラクに楽しく効果が出せるか?」に重点を置いている点。 きょうは、そんな本書の第1章「なりたい自分に近づく『目標設定』の仕組み」のなかから、STEP1「『叶えたいこと』をリストアップする」に注目してみたいと思います。
他人の評価のために自分の心に嘘をつかない
著者はまず最初に、自分が心の底から「やりたいこと」「できるようになりたいこと」を思いつくままに書き出していくことを勧めています。 大きなことでも小さなことでもかまわないそうですが、ひとつポイントがあるようです。「幸せになる」というような漠然としたものではなく、「海外部門に異動する」「TOEIC900点以上を取得する」など具体的に書いてみるべきだということ。 特に重要なのは、「周囲が喜ぶから」という理由だけではなく、自分の思いを大切にすることです。(24ページより) 他人からの評価のために自分の心に嘘をつくような目標は、達成に至るまでのモチベーションを維持することが困難。そのため挫折しやすく、長い目で見れば達成する意義が薄いわけです。また達成後も、その分野に本気で取り組んでいる人たちとの競争に勝てず、自分の価値を上げづらいというデメリットがあるようです。(24ページより)