【とっておきメモ】武豊騎手は“日本一接戦に強い”その理由を直撃取材「直線だけじゃない」
<とっておきメモ> <ジャパンC>◇24日=東京◇G1◇芝2400メートル◇3歳上◇出走14頭 レジェンド武豊騎手(55)は誰よりも“接戦”に強い。 数字が証明している。今年のJRAで、勝ち馬と2着以下がタイム差なしだったレースにおいて、トップの23勝を挙げている。勝ち馬と同タイムになった場合(3着以下含む)の勝率67・6%も首位だ(※)。 意外に思う人もいるかもしれない。世間のイメージからすると、たたき合いに強そうなのは豪腕。55歳の今なお「天才」と称されるスマートな騎乗スタイルとは対極にも見える。 では、なぜなのか? 幸いにも先日に取材する機会があった。僕が調べたデータを伝えると、第一声は「そうなの?」。自覚はなかったようだが、その理由を分析してもらった。 「(接戦で)負けた時の方が考えるよね。『スタートを決めてたら』とか『1、2コーナーで内を回ってたら』とか『あそこで一瞬ためらったからか』とか…。直線だけじゃない。首の上げ下げもなかなか(ゴールで首が伸びきるようには)合わせられないから」 そう、直線だけじゃない。道中、発馬、さらには返し馬、調教、前走-。1歩ずつの積み重ねが勝敗を分けるということだろう。その1秒たりとも手を抜いていないからこそ、接戦で勝ちきれる。上位3頭同タイムの激闘を制したドウデュースを見て、第一人者にあらためて畏敬の念を抱いた。【中央競馬担当=太田尚樹】 ※=タイム差なしのレースで10勝以上の騎手が対象。いずれもデータは先週時点