クラウンシリーズ随一!ドライバーがその気になったときの切れ味こそがクラウンスポーツの真骨頂だ
アクセルを踏んでいればスポーツの名に恥じるものはない
走りに関しては、意外にも行儀が良かった。いやむしろ良すぎる。セダンの頃のクラウンだって路面をキャッチする手応えや、蹴り出し感は、やや遅れ感はあっても適度な反力があった。しかし、スポーツと言うネーミングの割には路面からの入力はたっぷり空気を詰め込んだ大きなタイヤが包み込み、そして上下しながら走り出す。フロントは収まりが早いもののリヤは少し揺れを残しながら加速態勢に入る。 前後方向のカドのある入力を嫌い、上下の大きな入力をかわすための味付けだろうが、乗り心地が良いというよりも、揺れをともなう穏やかな動きに終始する。街中などの低速域ではしっとりとしていて良いが、ペースを変化させたり、入力が連続したりするような所ではボディは船を漕ぐ。 エンジン形式:直列4気筒DOHC エンジン型式:A25A-FXS 排気量:2487cc ボア×ストローク:87.5mm×103.4mm 圧縮比:- 最高出力:186ps(137kW)/6000rpm 最大トルク:221Nm/3600-5200rpm 過給機:× 燃料供給:DI+PFI(D-4S) 使用燃料:レギュラー 燃料タンク容量:55l モーター: フロント 3NM型交流同期モーター 最高出力119.6ps(88kW) 最大トルク202Nm リヤモーター 4NM型交流同期モーター 最高出力54.4ps(40kW) 最大トルク121Nm クラウンスポーツがもっとも本領を発揮するのはペースを上げていったときで、特に高速のランプ出入り口や、高速コーナーなどでは姿勢がピタリと決まる。ステアリングを一定にして、速度を合せていくと前後方向に動いていた揺れが、収まると同時にGがグッと立ち上がる。さらに加速態勢に入るとリヤの安定感が増し、ステアリングを切り足すことなく、速度と旋回Gを高まり、一切の揺れがなくなる。 この感覚はクロスオーバーの美点のひとつとして体験済みだが、スポーツはアクセル操作に対して、安定方向に動くレスポンスが速く、それだけロスなくコーナーを抜けられる。背は高くなっていても踏んでさえいれば旋回フォームにはいささかの不安もない。きっとクロスオーバーに対して70mm短いホイールベースがリヤの追従性を早めて、リヤ操舵システム(DRS)やリヤモーターの効果を一層高めているに違いない。 ラゲッジ容量は397L 後席を倒せばゴルフバッグ4個を収納できる 荷室長:959mm(床面) ]荷室幅(最小:987mm) 荷室幅(最大:1439mm) 荷室高(最小:632mm/最大:725mm) クラウンスポーツのスポーツたる所以は正にここにあって、街乗りではクラウンのネーミング通り快適で風格ある乗り味を目指しつつ、踏んでいったときにはショートホイールベース化したパッケージングによる、旋回性能を最大限に発揮。通常走行ではボディの揺れや収まりの遅さがやや気になったものの、踏んでいればスポーツの名に恥じるものはない。ドライバーがその気になったときに顔を覗かせる切れ味こそがスポーツの真骨頂なのである。 できるビジネスマンの筋骨隆々のボディフォルム同様、走りの性能もクラウンと言う名のスーツを脱いで、力を込めたときに肉感ボディの本質が理解できる。走りだけにとらわれず、クラウンの重石をしっかり受け止めた上での乗り味こそ、クラウンスポーツの持ち味。この日を楽しみにしていた期待を裏切られることはなかった。 トヨタ クラウン スポーツ Z(2.5Lハイブリッド車) 全長×全幅×全高:4720mm×1880mm×1565mm ホイールベース:2770mm 車重:1810kg サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rマルチリンク式 エンジン形式:直列4気筒DOHC エンジン型式:A25A-FXS 排気量:2487cc ボア×ストローク:87.5mm×103.4mm 圧縮比:- 最高出力:186ps(137kW)/6000rpm 最大トルク:221Nm/3600-5200rpm 過給機:× 燃料供給:DI+PFI(D-4S) 使用燃料:レギュラー 燃料タンク容量:55l モーター: フロント 3NM型交流同期モーター 最高出力119.6ps(88kW) 最大トルク202Nm リヤモーター 4NM型交流同期モーター 最高出力54.4ps(40kW) 最大トルク121Nm 駆動方式:4WD(E-FOUR) WLTCモード燃費:21.3km/L 市街地モード19.1km/L 郊外モード22.7km/L 高速道路モード21.6km/L 車両価格:590万円
瀨在 仁志