“カフェイン”の摂りすぎが良くない理由 1日に摂っていい量は何mg? 【管理栄養士が解説】
カフェインを飲みすぎると体に良くない理由 とくに注意すべき人は?
編集部: カフェインを飲みすぎると健康へのリスクがありますか? 村瀬さん: 過剰摂取は、めまいや心拍数増加、興奮、不安、ふるえ、不眠症、吐き気などの健康へのリスクが懸念されます。常に興奮状態が続くため、副交感神経が働かずに身体の疲労回復が行われません。さらに、カフェインには依存性があるため、飲み過ぎることによる慢性的な中毒症状にも注意が必要です。 編集部: どのような人が摂取に注意すべきですか? 村瀬さん: 妊娠中や授乳中の人、頭痛薬を服用している人、胃が不調な人はカフェインの摂取に注意が必要です。胎児や乳幼児の発育を阻害し、流産や低体重、不眠症のリスクを高めます。また、鎮静作用としてカフェインが含有された頭痛薬を服用している場合は、カフェインの摂取で、過剰摂取になるため注意してください。胃酸の分泌過剰作用により胃が荒れる、利尿作用により脱水症状になることもあります。空腹での摂取や、アルコールと一緒の摂取は避けましょう。 編集部: カフェインの摂取に適切な時間はありますか? 村瀬さん: カフェインの効果を期待する30~90分前の摂取が望ましいでしょう。カフェインは摂取後15分から効果があらわれ、摂取1時間から2時間程度で血液濃度が最大になります。また平均4時間程度で、効果が半減します。ですので、身体の疲労回復や睡眠の妨げにならないように就寝前4時間以降の摂取は控えましょう。 編集部: 1日にどれくらいのカフェインの摂取なら大丈夫ですか? 村瀬さん: 日本では、1日のカフェインの摂取量の基準は定められていません。カフェインは感受性に個人差があり、健康被害を及ぼす正確な評価が難しいためです。一方で世界保健機関(WHO)では、胎児への悪影響を防ぐために妊娠中はカフェイン量を300mg以下(コーヒーを2杯程度)にするよう示されています。
カフェインは気になるけどコーヒーや紅茶を飲みたい…何かいい方法はある?
編集部: コーヒーや紅茶が好きでよく飲むのですが、一日どのくらい飲んでいいですか? 村瀬さん: コーヒーの場合4~5杯程度、紅茶の場合8~9杯の摂取が望ましいでしょう。これは、健康な成人の摂取量を400mg以下の基準を考慮し、1日のカフェインの摂取量を算出した場合です。カフェイン含有量が100gあたり21mgを超える清涼飲料は、表示に関するガイドラインに従い、1日に望ましい摂取量を守る必要があります。過剰摂取による健康被害を受けないように、必ず表示を確認して適切な摂取量を守りましょう。 編集部: カフェインを含まないコーヒーはありますか? 村瀬さん: 健康志向の高まりで、カフェインを含まないコーヒーの需要は増加傾向にあります。具体的には、カフェインを取り除いたデカフェや、含有量が少ないカフェインレス、全く含まないノンカフェインが代表的です。デカフェは、コーヒーの苦みを取り除くことにより、フルーティな味わいを楽しめ、カフェインレスは、中南米地域の低カフェイン品種を楽しめます。 編集部: カフェインを含まない紅茶はありますか? 村瀬さん: カフェインを含まない紅茶もあります。コーヒーと同じくデカフェやカフェインレスと呼ばれており、通常の紅茶に比べて苦みがまろやかに感じるため、口当たりがよく飲みやすく優しい風味が特徴です。また、カフェインが含まれない、ハーブを使用した紅茶もおすすめです。カモミール、ルイボス、ローズヒップなど、ハーブ特有の香りや色を楽しむことができます。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 村瀬さん: コーヒーや紅茶は、目覚まし効果、運動能力や集中力の向上、ダイエットへの効果があります。しかし、適切な量を超えた摂取は、健康被害のリスクがあるので注意してください。カフェインの摂り過ぎに注意しつつ、気分を高めるための嗜好品として楽しんでくださいね。