クリス・ブルックスがエル・デスペラードを正式にDDTへ招待する「待たせた時間よりも長く語り継がれるものにしたい」【週刊プロレス】
試されるシチュエーションでこそ僕は生きている実感が得られる
――試合に関しては言うまでもなく勝つことが第一になるとして、そこに付随して相手がエル・デスペラードだからこそクリエイトしたいことはありますか。 クリス 個人的な欲求だけに絞って言うなら、プロレスをやっていてもっとも楽しいと思える瞬間は、自分が試されるシチュエーションなんだ。ここは本当にやり遂げてみせなきゃならないという場面でこそ、僕は生きている実感が得られる。その相手がエル・デスペラードとあれば、世界レベルのトップの能力を持ったプロレスラーとの試合で自分が試されるわけで、その結果何が生まれるかっていうのは僕自身も楽しみにしている部分だね。 ――DDTにおける通常ルールの試合でも、クリス選手はハードコアな要素であったりサイコロジーによる発想であったりを盛り込んできます。今回もそういった出方を想定していますか。 クリス それはDDTらしさというものにもつながってくると思うんだけど前回、デスペラードはササキと対戦した。あれはDDTそのものというよりも、ダイスケ・ササキを味わったんじゃないかと僕は思っている。だから、正式にエル・デスペラードをDDTにインビテーション(招待)するのは今回だと思ってほしい。それがハードコア的な要素になるか何になるのか、DDTらしさをどういう形で表現するかは、僕自身も現時点では思いついていないし、リングに上がったらどういうインスピレーションが湧いてくるかもやってみないとわからないものだから。ただDDTとしてのおもてなし、DDTにようこそという気持ちでやることだけは確かだよね。 ――今年の両国は、昨年末に腫瘍が見つかり摘出手術を受けてそれを乗り越えての出場となります。あれを経てプロレスを続けられていることへの思いがあれば聞かせてください。 クリス あの経験で僕は…次はないかもしれないということを本当に身に染みて感じました。普段でも、来週予定されている試合が急になくなるかもしれないし、毎回これが最後になるかもしれないって思うようになった。こうして今、両国に向けて話しているけど、それさえも確実に迎えられるという保証なんてないんだ。だからこそ、毎日の試合一つひとつが僕にとっては本当に大切な機会だし、そのつど全力を出して、かつ全力で楽しむようになった。僕の場合は、それに気づかされたのが病気によってだけど、先に想定していたものにたどり着けない可能性は誰にもある。ほかのところでも話したと思うんだけど、そういう思いから復帰後は目の前のことを一つひとつ区切って考えて、とにかく全力で楽しむスタンスを続けてきたし、先送りにできない、待てないっていうのはデスペラード戦に限らずすべてに関して思うところで。東京女子プロレスに出場するのもタカナシさんとタイにいくのもあるいはまたアメリカいくのもいつかじゃなくて今実現させなきゃって考えるようになったんです。 ――それを聞くと、待てない気持ちが理解できます。 クリス ファンの皆さんを長いこと待たせたけど、それだけじゃなく僕たち自身もこの試合を本当に待っていた。だからこそ、それほど待ち続けた価値があったと思ってもらえるように僕もデスペラードもお互いの持っているものを全力でぶつけ合うから。その上で、待たせた時間よりも長く語り続けられるものにしたいと思う。デスペラード、君だってそうだろ?
週刊プロレス編集部