a子が語る、クリエイティブチームとともに音楽を作る理由、「SXSW」から受けた影響
a子のサウンドにオリエンタルな雰囲気が感じられる理由
―新曲「LAZY」について詳しく訊かせてください。冒頭のギターはどなたが弾いているんですか? a子:最初のギターは白川詢君が弾いていて、その後のイントロリフは2つあるのですが白川詢君と齋藤真純君に弾いてもらって、私と中村さんが気に入った部分を繋げて作り直したものをさらにレコーディングで綺麗に弾いてもらいました。 ―この曲はどういうことをテーマに書いた曲なのでしょうか。 a子:SNSのXで女の子が暗いことをつぶやいているのを見かけたのがきっかけです。最近、周りの環境やSNSの影響だとかで病んでいるみたいな子が多いなと思って、そこから自分が感じたことを書いた感じです。「私はただ楽しみたいだけなのに、全部ダルくて、生きることもダルいな」っていうのを最初に英語で歌ってます。 ―その「ダルい」が「LAZY」という言葉の意味なんですね。こういう曲のアイディアは今回のように何かきっかけがあって出てくるんですか。それとも曲を書こうと思って取り組むこともありますか。 a子:曲はそのときに気づいたことや、やってみたいことから作るんですけど、歌詞は、周りで起きてることから作ったり、自分が今思ってることから作ったりします。歌詞のワードは、自分は小説を読むのは苦手なんですけど、単語を見るのがすごく好きで。そこで面白いなと思った言葉はメモっておいて繋がるものから作ったり、映画を見て思ったことを歌詞にすることが多いですが、今回は珍しくSNSから起こったことで書いてみました。SNSを見て自分が病んで曲にすることはよくあるんですけど。 ―自分が病んだ気持ちになって、それが音楽に直結することが多かった? a子:そうですね。コロナの時期は、結構食らってたりしてました。でもメジャーに入らせていただいて、チームのlondogも結構安定して全員ともコミュニケーションをちゃんと取れるようになったし、今は幸せになってきてます。「幸せになったら曲って作れなくなるんかな?」って一瞬悩んだときもあったんですけど、でもよく考えたら幸せになったんやったら自分の幸せを曲にすればそれでいいんじゃないかと思って。明るい面の歌詞や明るい曲も書けるようにしたいなって。自分はネアカと根暗とどっちも持っていると思っていますが、聴いてて好きなのはマイナー調や暗い歌詞なので、そこに今も引きずられて曲や歌詞になっている事が多くて。でも、幸せになってきたんだったらそれをそのまま表現してみるのもありかなって。意外と難しいですけど(笑)。londogのメンバーにも、「a子はほんまにそのときの気持ちがそのまま歌詞とか曲に出るな」みたいに言われるので、素直に自分が今しんどいんやったらしんどい曲を作ればいいし、楽しいんやったら楽しい曲を作れるようにやっていこうかなって、最近考えてたりしました。 ―過去作を聴くと「samurai」なんかは、聴いたことがないジャンルという気がします。 a子:「samurai」は、友だちのアーティストさんに「組み合わせ方で新しいジャンルに聴こえさせるような音楽をやりたい」と言って何曲か聴いてもらったときに、「この曲はそれができてる気がする」って言われた曲です。全員が好きな曲ではないんやろうけど、めっちゃチャレンジは感じるみたいな。 ―オリエンタルなストリングスが入っているのも印象的です。 a子:ストリングスは斎藤ネコさんに弾いてもらったんですけど、即興で幾つか音を加えて頂いて、本当に素晴らしいレコーディングでした。この曲のきっかけになったのはアニメ『サムライチャンプルー』でNujabesさんがトラックを作ってMINMIさんが歌っている「四季ノ唄」を昔カバーしたことがあったんです。そのときのアレンジは私がフライロー(フライング・ロータス)の「Never Catch Me (feat. Kendrick Lamar)」にハマっていて、ドラムンベースで「四季ノ唄」をカバーしたらどうなるんやろうって作ったんですけど、それがずっと気に入っていて。いつかドラムンベースでこのオリエンタルな感じを混ぜた曲をやりたいと思って作った曲です。一番好きな曲というか、自分がやりたかった感じに一歩近づけたかもと思った曲ですね。オリエンタルな雰囲気は結構昔から好きで、初めて幼稚園のときに聴いたCDが女子十二楽坊なんです。 ―なるほど、女子十二楽坊の雰囲気ありますね。 a子:女子十二楽坊の「世界に一つだけの花」のカバーが流行っていたときに、おばあちゃんがCDを買ってきてくれて、めっちゃ好きだったんです。坂本龍一さんやNujabesさんもすごく好きで、それでa子のサウンドには全体的にオリエンタルな雰囲気が感じられるようになっているかなって思ってます。それが一番強く出ているのが「samurai」だと思います。