女子サッカーに立ちはだかる“5000人の壁” 感じた課題と手応え「Jのマネをしても難しい」
浦和L対大宮Vの試合の観客数は4202人
WEリーグは11月17日に第9節の試合が行われ、“さいたまダービー”の三菱重工浦和レッズレディースと大宮アルディージャVENTUSの一戦は4-0で浦和の勝利となった。浦和はこのゲームに5000人の観客を集める目標を立ててキャンペーンを行っていた。実際には4202人の観衆だったなかで、楠瀬直木監督や告知に力を割いた選手たちは手応えや課題を口にした。 【写真】「美人姉妹すぎ!」 なでしこ清水梨紗、“ドレスアップ”姉との並びが話題「同じ顔」 浦和は新シーズンに向け来場者数の増加を課題に挙げ、この大宮戦をターゲットとして5000人を集客する目標を立てていた。チームは今季スタートしたAFC女子チャンピオンズリーグ(AWCL)やリーグ戦の戦いを並行しながら、選手たちが男子チームの試合時にスタジアムを訪れることや、11月14日の埼玉県民の日のイベントに出席する中で告知を行う活動をしていた。また、このホームゲームに合わせたコラボ商品の発売などにも力を入れた。さらにクラブ会員に向け試合後のピッチで子どもたちがサッカーを楽しめるイベントも実施し、一部選手も参加した。 試合そのものは、前半から浦和が良い形で進め、右サイドではなでしこジャパンにも選出されたDF遠藤優とMF塩越柚歩が良いコンビを見せて、逆サイドからDF栗島朱里が先制点。相手のオウンゴールで追加点を奪うと、後半にはハーフタイム明けに投入された18歳になったばかりのMF藤﨑智子が2得点して4-0の快勝を収めた。スタジアムでは飲食売店の列が普段より長く感じられ、駐輪場などの施設も普段より混み合っていた感があった。一方で、試合終了から約10分前に発表される観客数は4202人で、目標には少し届かなかった。 楠瀬監督は「もちろん満足はしていないけど、多くの方に来てもらえた」と、スタジアムの雰囲気について話した。しかし、「色々なキャンペーンも続けていかないと、次から一気に落ち込んでしまったでは良くない」として、イベントなどと関連させていくことへのアイディアも口にした。 「選手たちをイベントにどんどん出してくださいとは言っているものの、できる範囲も限られているし、外に出られる機会も限られる。選手たちなりにSNSでも頑張ってくれているけど、色々なイベントもプラスされるとは思う。女子サッカー、女子サッカーというよりも、何かイベントがあって、そこに我々がいる、見てみようか、面白いじゃないかというスタンスでもいい。Jリーグも30年かかったので、ただマネをしても難しい。色々な子どもなどの楽しいことがあって、その先に(試合が)あって面白いなということでもいい」 チームの中でもSNSのフォロワー数が多い塩越は「これがベースになっていけばという思いと、5000人を目指してなかなか手が届かなかったことの両方がある。他のチームも、5000人という数字がなかなか出せていない。交代してからスクリーンを見て、(遠藤)優と『5000人いかなかったね、何がダメだったかな』という話もしていた。今日はこういうイベントもあったけど、それが毎試合というのも難しいし、自分たちのプレーだけでお客さんを呼べるような魅力は広めないといけないし、伝えないといけない部分だと思う」と話す。 一方で、実際の告知活動やSNSでの手応えについては「SNSで発信して『私の後押しを感じたので、行きます』という方もいたし、反応をしてくれる方以外にもいたと思う。チームの発信もそうだけど、個人を応援してくれる人もいると思うので、1人1人が積極的に発信していきたい。今日はダービーだから来てくれた方もいると思うので、来たら楽しかったから次もというサイクルを積み重ねていきたい」と話した。 男子チームはJリーグ屈指の集客力を持つ浦和だけに、WEリーグの中では上位の観客数を持つ。一方で、その浦和でもなかなか突破できない“5000人の壁”という現実をあらためて突き付けられる形になってしまっただけに、WEリーグ全体、各クラブや選手も含め、様々な形での力を尽くしていくことが必要だと言えそうだ。
轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada