中国国家統計局が声高らかに「GDP4・6%成長」を発表するも、これだけの不安材料
「国家統計局が中国に都合のよいデータを出してくれる」
世界が注目した第3四半期のGDP成長率は、4・6%だった。私はこれまでの各種データから、4・5%だろうと予測していたが、0・1ポイント高かった。 それにしても、中国の今年の経済成長の年間目標は、「5・0%前後」である。これをクリアするには、第4四半期(10月~12月)で、5・4%程度の経済成長が必要で、かなりハードルは高い。 おそらく、もしも通年で5・0%に到達できなかった場合には、「年間目標は『5・0%前後』であって『5・0%』ではなかった」と言い訳するに違いない。そのため、たとえ通年のGDP成長率が4・8%だったとしても、「年間目標は達成した」と強弁するわけだ。これは以前、李克強前首相が説いていたレトリックだ。 もしくは、「えいやっ!」と「神の手」によって引き上げてしまい、「通年で5・0%だったので目標を達成」と胸を張るとか? 実際、過去に少なからぬ地方政府で、「GDPでっち上げ事件」が発覚している。だが中央政府では、さすがに発覚した前例はない。 ただ、国家統計局を巡るアネクドート(庶民がひそひそと語る政治小噺)というのはいくつもあって、例えばこんな調子だ。 <中国経済が悪化の一途をたどり、国家発展改革委員会、財政部、中国人民銀行……と、次々にさじを投げた。だが、14億中国人民は諦めなかった。「何と言っても、われわれには最後、国家統計局がついているのだから」> <国家統計局が、複雑な統計整理作業の迅速化のため、世界最先端のコンピューターを導入した。そのコンピューターは優れたAI機能付きで、中国政府に都合のよいデータは2倍にして出し、逆に都合の悪いデータは半減して出してくれる。それによって、作業は非常にはかどるようになった> 実際、この日の盛副局長は強気だった。発表の最後は、「努力して通年の経済社会発展目標の任務を完成させる」と締めくくった。 習近平主席も10月16日、かつて(1985年から)赴任していた福建省アモイを視察し、現地の幹部たちを集めた重要講話で、こう力説した。 「党中央の決定、差配を、真摯に貫徹実行し、全力で第4四半期の経済活動をうまく掴み、通年の経済社会発展目標を努力して実現させるのだ」