旧統一教会が「改革」を強調する裏で飛び出した韓鶴子総裁の「日本賠償」発言 内部からも疑問の声 本当に変われるのか?
歴代最長政権を担った政界の大物が殺害された安倍晋三元首相銃撃事件は、政治家と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の深い関係に目が向けられるきっかけになった。教団の高額献金問題などが噴出し、半世紀に及ぶ蜜月ぶりが明らかになった自民党は関係断絶を宣言。信者の親を持つ宗教2世は、自らの置かれてきた苦しい境遇について切実な声を上げ、悪質な寄付や勧誘を規制する新法が制定された。教団側は改革を進めていると強調するが、その裏で韓鶴子総裁が最近になって「日本は賠償しなければならない」と発言していたことが明らかに。教団は変わるのか。政治は本当に教団とのつながりを絶てるのだろうか。今後を展望すべく、この1年の動きを振り返った。(共同通信=帯向琢磨、濱田直毅、深江友樹) ▽逆風の統一選 「統一教会!」。選挙区内を車で回って遊説していると、住宅の戸が開けられ、いきなり罵声を浴びせられた。今春の統一地方選で7選目を果たした自民党の三石文隆・高知県議(69)の話だ。教団が2017年に高知市で開いた「オープン礼拝」に参加したことなどが報じられ、前回より400票以上減らす苦戦を強いられたという。
三石氏は「問題ある団体だという認識に乏しかった。自民党といえば支援組織がしっかりしているイメージを持たれがちだが、そうではない。呼ばれれば、どんな小さい会合でも顔を出していた」と打ち明ける。 教団との接点を皮肉り、後援会の申し込み用はがきに「統一教会文隆」と書かれて送られてきたこともあった。逆風となった選挙戦について「接点があったことで評判を落とし、しんどかった」と振り返る。 ▽持ちつ持たれつ 銃撃事件で逮捕・起訴された山上徹也被告(42)は、逮捕直後から母親による多額の寄付で家庭が崩壊したと教団への恨みを供述していた。こうした動機に基づく復讐の矛先を元首相に向けたとみられている。事件を機に、その元首相が教団の関連団体にビデオメッセージを送っていたことも広く知られることとなった。そうなると自民党議員と教団の接点も次々に取り沙汰されるように。接点が明らかになった議員は釈明や謝罪に追い込まれ、岸田文雄首相は教団との関係を断絶すると宣言するに至った。