旧統一教会が「改革」を強調する裏で飛び出した韓鶴子総裁の「日本賠償」発言 内部からも疑問の声 本当に変われるのか?
勅使河原氏は「数字の上ではかなり周知されている」として、教団が進める改革が浸透していると主張。解散命令請求には徹底抗戦する構えを示す。さらに、高額献金の一因になっているとみられる年間数百億円にも上るとされる韓国への送金について、教団関係者は取材に「今後もとりやめる」と説明。事件後、「中断している」としていた姿勢からさらに踏み込んだように見えた。 ▽総裁発言は内部でも疑問視 そうした折、6月下旬に韓総裁が教団内部の集会で「日本は第2次世界大戦の戦犯国家で、罪を犯した国だ。賠償をしないといけない」「日本の政治は滅ぶしかないだろう」「政治家たちと岸田に教育を受けさせなさい」などと発言したことが明らかになった。日本で教団への批判が相次ぎ、政治家との接点が問題視されたことについても反発をあらわにしていたという。 これに関し、共同通信が韓国への経済的な見返りをトップが正当化した発言だと報道すると、教団側は「『韓国への送金の正当化』は強引な解釈。韓国だけでなく世界を助けるべきだという趣旨で、報道は切り取り、すり替えだ」だと反論。「日本の政治は滅ぶしかないだろう」との発言は、信教の自由が侵害されていると韓総裁が「心を痛めて」おり、「政治家たちと岸田に教育を受けさせなさい」との言葉は、「宗教と政治の在り方を正す必要があると伝えなければならない。それが日本を生かす道だ」と強調したかったからだとした。ただ、教団内部でも「もっと献金せよという意味にしか聞こえない」などと総裁の発言を疑問視する声が出ているという。
▽自浄作用期待できない 長年、教団の問題を取材してきたジャーナリストの鈴木エイトさんは「教団によるロビー活動はどういうものだったのか、なぜ政治家とつながり続けたのか。接点の有無だけでなく、その経緯と濃淡を本来なら国会が外部の専門家も招いて調べるべきだった」とこの1年の対応を振り返る。 「政治家への追及や、不当寄付勧誘防止法の実効性の確保などは不十分で、まだ『何も始まっていない』気がする。本来はこれからが重要なのに、一段落ついてしまったような空気になっている」とも指摘し、「違法行為をしてきた団体が宗教法人として税金の優遇などを受けているのはおかしい。教団に自浄作用は期待できない。外部から規制をかけるしかない」と強調した。