旧統一教会が「改革」を強調する裏で飛び出した韓鶴子総裁の「日本賠償」発言 内部からも疑問の声 本当に変われるのか?
昨年11月、文化庁は解散命令請求を視野に、宗教法人法に基づく質問権を行使して教団への調査を開始。12月には不当寄付勧誘防止法が成立した。「霊感」で不安につけ込む寄付の勧誘などを禁じ、本人や家族からの寄付の取り消しを認める条件を盛り込んだ。厚生労働省も、宗教虐待に対応するQ&A形式の文書を全国に通知した。 当事者同士の連携も進み、宗教2世の支援団体が相次いで設立された。4月に「スノードロップ」を設立した「エホバの証人」3世の夏野ななさんは6月、東京都内の集会で「宗教の家庭に生まれ、人知れず苦しんできた。誰かに助けを求めることなんか考えもしなかった。この苦しみに気づける社会をつくりたい」と語った。 ▽「被害者」との見方に反発も 一方、今も信仰を続ける教団の現役2世の中には、「2世=被害者」との見方に反発し、批判や差別に心を痛めてきたという人もいる。小嶌希晶さん(27)は親が熱心な信者で小さい頃は寂しい思いをしたこともあったという。ただ「教会や親の被害者ではない。一度しかない人生を、どのように生きようかと必死に考えて自分の意思で信仰を持つことを選んだ」と力を込める。
自身が立ち上げた任意団体「信者の人権を守る二世の会」には「親が仕事を失った」「学校でいじめを受けた」との声が寄せられ、「教団を批判する報道を見たのを苦にして娘が自殺した」という母親からの申告もあったという。 相次ぐ2世からの被害の訴えには「自分の周りにはそういう人はいないのに、大半がそうであるかのような報道に違和感があった」と反論し「自分たちの思いも同じように聞いてほしい」と話している。 ▽「改革浸透」と主張 教団の現状はどうか。勅使河原氏によると、改革の一環として、10万円以上の献金を受ける際には、その原資が借金でないことなどを示す「献金確認書」の提出を求めている。記録として残しトラブルを防ぐためで、5月のデータでは、確認書の取得率は9割、それに対する受領証の発行も6割を超えたとしている。 また、信者約3千人に行ったアンケートでは、「借金による献金禁止」は97%が、「先祖の因縁などをことさらに結び付けた献金奨励をしない」は98%が、「しっかりまたはある程度実施されていると感じる」と回答したという。