【性感染症】感染拡大が止まらない! 身を守るためにできること
あるとき一人の患者さんから「パートナーができた」と報告を受けました。マッチングアプリで知り合った相手の方から「(交際は)性感染症検査を受けてからにしましょう」と提案してくれたそうです。素晴らしい提案だと思いませんか。こうしたやりとりがカップル間で当たり前になるといいですよね。性教育の講演を長年行ってきて本当によかったと感動した出来事でした。
感染しない、させない。“セーファーセックス”の5ヶ条
編:梅毒については先に予防策を伺いましたが、性感染症を防ぐために私たちができることを改めて教えてください。 高:性感染症のリスクをできるだけ少なくした、より安全なセックスのことを“セーファーセックス”といいます。まずはそのポイントを5つご紹介。この中の項目をできるだけ多く組み合わせると、感染リスクをより下げることができます。
1.コンドームを正しく使う 2.清潔にする(セックス前後にシャワーを浴びるなど) 3.パートナーを限定する 4.性感染症検査をパートナーと一緒に受ける 5.ワクチンが有効なものにはワクチンで予防する(HPVやB型肝炎など)
高:セックス の前後ではシャワーを浴びて、性器や口、手など触れ合う部分を清潔にしましょう。コンドームは性感染症予防に欠かせないアイテムです。ピルは避妊には有効ですが、性感染症を予防することはできません。セックスの最初から最後までコンドームを使うことや、オーラルセックスやアナルセックスでのコンドーム使用も大切です。 それから、複数のパートナーとのセックスは感染の機会を増やします。パートナーを限定し、お互いに検査を受けておくと感染のリスクを減らせます。また、セックスのときに何か気になることがあったら「ここの様子が違うみたいだけど、大丈夫?」と声をかけるなどして、行為をやめる提案をする勇気を持ちたいもの。性産業で働く方は、相手の性器の様子を見ておいて、できものができていたりしたら利用を断るなどの対策をとっているそうですよ。 編:「パートナーはこの人だけ」だと思っていたし、自分では気をつけているつもりだったのに性感染症に感染したというケースもあると聞きました。実際のところどうなのでしょうか? 高:カップル同士でクラミジアになり、「どちらがどこから性感染症を持ち込んだの?」と、揉めるケースはあります。パートナーになる最初の段階や子作りを始めるタイミングで性感染症検査を受けるようにしたり、「パートナー以外の相手とはセックスをしないようにしよう」と話し合いができたりすると安心ですよね。子作りを始めると避妊の必要がなくなり、コンドームなしでセックスをすることになるので、性感染症のリスクは上がると認識しましょう。妊娠中のセックスも要注意。性感染症にかかっていないと断言できない限りコンドームなしでセックスするのは控えることをおすすめします。子宮内に病原体が感染してしまうと、胎児にまで影響が及ぶこともあり得ます。 編:コンドームを使用すると、どれくらいの精度で性感染症を防ぐことができますか? 高:厳密にいうと、コンドームは「精液に病原体が含まれている場合に有効」であり高い頻度で予防可能ですが、それには破れたり、外れたりしていないことが前提になります。一方、性器に限らず皮膚や粘膜に病原体が存在する感染症は濃厚な接触で感染していくので、コンドームを使用していてもどうしても防ぎきれません。それでも多くの場合、性感染症はコンドームでの予防が有効ですので必ず使用してください。