【独自解説】最悪白紙の可能性も…2030年秋の開業を目指す大阪・夢洲の統合型リゾート「IR」の計画に暗雲?問題の背景にある「万博」と「解除権」
国際機関のトップや万博協会側が、「万博の期間中はIRの工事を止めてください」と言っているんですが、一方でIRを進める大阪府・市側は「IRの工事を止めろというのはおかしい」と言っているんです。
■納得できない大阪府・市…工事スケジュールの許可をした国は、“だんまり”
この件について、大阪府の幹部に取材したんですが、「なんで今さら」という声が聞かれました。2024年6月に万博の参加する国々が一堂に会する国際会議があったんですが、どうもこちらで日本の万博協会側が国際機関のトップに対して、「万博期間中も横でこのような形でIRの工事が行われる予定だ」というのを伝えたらしいんです。その時に、この国際機関のトップは、「私はこんな話は聞いていない」と発言し、今回の事態に陥ったそうです。 これを受けて万博協会側も、景観の悪化であったり騒音の問題など、参加する国々から苦情が来たときに、「これは外交問題になりかねない」と懸念を抱いて、大阪府や大阪市に対して「万博期間中にIRの工事は中断してくれませんか」という話をしに行ったということなんです。
ただ、大阪府・市側からは、「万博期間中にIRの工事をするということ自体、そもそも国が認可していること」、「工事の騒音もある程度で抑えられるというのは検証が済んでいるし、そもそも開幕中は万博会場の方がうるさいぐらい」といった声も聞こえてきています。7月25日には万博協会のトップである十倉会長と、大阪府のトップである吉村知事が協議をしたんですが、こちらでは結論は出なかったということです。
では、認可を出した国は、今どういう立場なんのかというと、“だんまり”しているということなんです。これには大阪府の幹部も「本来、これは国が認可しているものなので、国がもうちょっと調整してほしい」といったような、嘆きの声も聞かれました。
工事中断で数百億円規模の追加負担、開業は1年程度先送りか…最悪“白紙撤回”のおそれも
この後の流れですが、関係者に取材をしたところ、仮に万博が行われる半年間工事を止めたとすると、数百億円規模の追加の費用負担が必要になってくるだろうということです。さらに、開業も半年では済まず1年強ぐらい先延ばしにしないといけないような状況になり得ると話していました。そしてこれが最悪の場合、先ほど申し上げた“白紙”になるということもあり得るということなんですが、その背景にあるのが、事業者と大阪府・市の間で結ばれている『解除権』というものです。
【関連記事】
- 【独自解説】万博「開幕前に下見ができない…」子どもたちの“遠足” 先生たちからは不安の声 移動手段、熱中症対策、ガス爆発 不安を解消して多くの人が訪れるようにするためには?
- 【独自解説】都知事選の石丸伸二氏躍進から見る“維新の危機”「このままの状況を続けていたら維新は消滅してしまう」 “維新離れ”の理由とは?そして、今後の関西の選挙はどうなるのか?
- 【独自解説】“戦うリーダー像”をアピール!トランプ前大統領が党大会初日にサプライズ出席!勢いづくトランプ陣営にイーロン・マスク氏は毎月71億円の献金へ
- 【独自解説】アメリカ大統領選挙 バイデン大統領撤退はトランプ氏側は想定内か 民主党巻き返しなるか?カギは”副大統領”と”ダブル・ヘイター”
- 【独自解説】いざという時、日本の運命は“どちらが決める”?自衛隊とアメリカ軍が連携を強化したワケ 米・司令官が日本常駐でも“ハワイの上司”が…新システムで懸念される『指揮権』と『星の数』