【独自解説】最悪白紙の可能性も…2030年秋の開業を目指す大阪・夢洲の統合型リゾート「IR」の計画に暗雲?問題の背景にある「万博」と「解除権」
2023年9月に、「実施協定」という、今後の進め方に関する契約が、大阪府・市とIR事業者の間に結ばれたんですが、その際に、7つの要件が整わなかった場合は、事業者側が違約金なしで撤退できる、という権利が規定されているんです。 この中には、『開発への影響』や『資金調達』、『新型コロナの収束』などの要件が挙げられているんですが、万博期間中に工事が中断されることになれば、『開発に大きな影響を与える』可能性があります。事業者側は「解除権」を持っていますので、最悪の場合、ここに行き着く可能性というのがまだ残されている状況です。
実は、過去にもこの「解除権」というのが大きな話題になったことがありました。京阪・中之島線は、「中之島駅」から、万博会場のすぐ近くにできる夢洲駅へと繋がる大阪メトロの「九条駅」まで延伸させる動きがあったのですが、これもやはり先ほどの「解除権」というのが残されていたために、「IRが本当に開業できるのかが不透明だ」ということで、京阪電鉄は2030年秋までの開業というのを断念しています。
実は、関係者によると、開業への大きなカギとなるこの「解除権」を7月中には放棄しようとする動きがあったということなんです。解除権を放棄して、具体的に建設を進めようとしていた中で、「万博期間中の工事中断」要請という話が突如出てきたので、「解除権の放棄」は先延ばしになったということです。
大阪の成長戦略の柱でもある「IR」、今後のポイント
先ほどから話に出ている、「万博期間中にIRの工事が中断されることになった場合」の追加の費用負担に関して、8月5日、大阪府の吉村知事は、「これは大阪府・市が税金で担うものではない」と話しているのですが、一方で事業者側にとっても、予期せぬ費用負担ですので、そんなにたやすく受け入れられるのかという問題もあると思います。 事業者側と大阪府・市側は万博期間中の工事について、対策を検討しており、まとまり次第、万博協会側にも伝えるということなんです。 万博期間中に、計画通り工事を続けられるのか、それとも工事が全くできずに中断せざるを得ないのかが、今後のIRの大きなポイントになりそうです。 (『読売テレビ』平田博一記者) (かんさい情報ネットten. 「キシャ目線」2024年8月5日放送)
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