神秘的な香りを体験 ── 咲くやこの花館「植物で辿るクリスマス」展
ツリーを彩る赤い帽子の妖精「トムテ」
クリスマスツリーにちなむ物語も興味深い。キリスト教の布教拡大に伴い、ヨーロッパ各地で、土俗的な信仰とキスリト教の融合が進む。会場に設置されたスウェーデンのツリーには、妖精「トムテ」が飾られている。 「トムテ」は北欧の民間伝承に登場する妖精で、農家の守護神。赤い帽子をかぶりやさしい性格だが、大事にされないと怒り出す怖い一面を併せ持つ。久山敦館長が現地で収集してきた素朴な飾り付けグッズも観賞できる。 クリスマスベル、クリスマスローズ、クリスクスパレードなど、クリスマスの名の付いた花が集められた。クリスマスカクタスを積み上げた色鮮やかなツリー装飾を展示中だ。 日本でおなじみのポインセチアがクリスマスに登場するのは、近代になってから。印象的な赤と緑はたくましい生命力を表すため、1800年代、クリスマスを彩る花として原産地のメキシコからアメリカに紹介され、第2次大戦後、世界各地に広がった。 久山館長は「キリスト教の行事や慣習は、キリスト教以前の古代エジプトや北欧の信仰などをたくみに取り入れて成立した。近現代を迎えても、新しい要素と融合し変化を遂げている」と分析。「キリスト教の歴史の中で、ときおり植物が重要な役割をはたしてきた。植物が人間の営みとともにあることに、関心を持っていただけたら」と話す。開催時間は午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)。入館料大人500円、中学生以下無料。期間は28日まで。詳しくは同館の公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)