羽生結弦さん、30歳は「全然想像と違ってた」 誕生日に全国ツアー開幕「野球、サッカーに置き換えれば脂が乗ってくる時期」【囲み取材全文】
演技は「向いてないな」も…主人公は「自分が演じないといけない」
――今日の物語の中で、思わず書き留めたくなるような言葉がたくさんあった。一つ選んで思いを語るとすれば。 「生命に対してだったりとか、自分が大学で履修していた教授の本であったりとか、いろんなものを読み直して作ってきた。そうですね……『運命』が偶然の連なりっていうことを、哲学書をいろいろ読みながら学んでいって。本当にすごくすごくもろくて、なんでこんな偶然が繋がっていったんだろうっていうような運命が人それぞれきっとあるんだろうなって。それが皆さんの中で、何かいろいろ振り返ったときだったりとか、現在進行形で運命を感じているようなときに、滅多に出会えないような、こんな偶然の出来事に出会えたんだっていう喜びであったりとか。奇跡みたいなことをぜひ感じてもらいたいなって思ってつづった文章の一つです」 ――新作衣装も多数。思い入れの深い衣装は。 「やっぱり(主人公の)NOVAの衣装ですかね。今まで映像の中と、実際に演技するっていう衣装のリンクっていうことをしたことがなかったので。本当にファッションに使えるような服を氷上で着るということは結構難しかったのは難しかったんですけど、でもやっぱりNOVAという主人公の衣装にはかなり思い入れが強いものがあります。また今回、フィギュアをずっと専門にしてくださっている方も含めて、フィギュアを作ってこられなかった方も新たに参加してくださって。本当にいろいろ、何着も何着もアレンジを繰り返して作り上げた衣装たちもたくさんある。RE_PRAYであったりとか、GIFT、プロローグとはまた違った毛色のアイスストーリーになっていますし、衣装も含めてフィギュアっぽくないっていうか、Echoesじゃないと見られない衣装の布感だったりとか、そういったものもぜひ感じてもらいたいなって思います」 ――まるで映画のようなムービー。撮影に要した時間は。元々スクリーンでの演技に挑戦したい思いはあったのか。 「まず後ろの質問からなんですけど、1回映画に出演させていただいたことがあって、お芝居というものをさせていただいたんですけど、本当に『向いてないな』って思ったんですね(笑)。映画に出たいとかそういう気持ちは全然なくて。ただ、NOVAという主人公に対して演じるということに関しては、何も違和感がなかった。やっぱり自分が綴った物語であって、自分が完全に入り込める主人公を描いているので、そこに関しては、やっぱり自分が演じないといけない感覚でいました。撮影に要した時間ですけど……3日間くらいですかね。丸2日間ずっとやって、半日ぐらいやって、もう1回半日撮って。プラス、ナレーション録りをしなきゃいけないので、そこでも2日。大変でした(笑)」 ――選曲、表現のこだわりについて。 「RE_PRAYが結構、ゲーム寄りに作っていたので、シンプルを作りつつも、割とクラシカルなものをやりたいっていう気持ちがあった。今回も哲学ということをテーマにしていたので、ピアノの旋律であったり、気持ちが凛とするような曲たちを、割と多めに選曲しています。その中で、自分がストーリーを描く中で『ここは戦いたいところだな』とか、『ここは芯を持つべきところだな』とか、『ここは言葉をそのまま使いたいところだな』とか。そういったことをいろいろ考えた。今回とにかく一番悩んだのは、5番目の曲かな。ピアノのクラシックの連続のところからのバラ1。今までやったことのない、1回もはけないで、30秒間ずつくらいずっとプログラムを演じ続けるみたいなことをやっているんですけど、清塚信也さんと一緒にクラシックのことも勉強して。ジェフリー・バトルさんに振り付けを頼んでいるんですけど、ジェフとも『こんなイメージで滑りたい』っていうことを綿密に計算しながら作ったプログラムです」
THE ANSWER編集部