「今年は大きなコートでやるのが目標」テニス・加藤未唯が描く未来
センターコートでバーンとやるのが好き。大きなコートでやるのが目標
選手はみんなこのような状況の中で、大会での優勝を目指し、ランキングをひとつでも上げようと努力している。 この競争のなか、加藤は誰もが憧れるグランドスラムで頂点に立った。これからの自分の将来を、彼女はどう考えているのだろう。 「全豪オープンでベスト4になったとき、ラストエイトパス(グランドスラムでシングルスはベスト8、ダブルスはベスト4以上の成績を残した人だけが登録されるラストエイトクラブのパス)がもらえたんですけど、そのときに全部のパスを取りたいと思ったんです。 今回、全仏が手に入ったので、あとは全米オープンとウィンブルドンです。混合ダブルスは今後も出場したいですが、女子ダブルスでも優勝したいですね」 そして、今年はパリ・オリンピックがある。これも、グランドスラムと同じく、価値ある舞台であろう。 「多分6月に全仏が終わった次の週のランキングで決まると思います。最大4人出場できて、上位の人から選ばれる。とにかく今はランキングを上げるしかないです。自分はたくさんの人に見てもらったり、応援してもらったりするほうが楽しめるタイプなんです。 観客が5人しかいないという試合はちょっと(笑)。それより、センターコートでバーンとやるのが好き。だから、今年は大きなコートでやるのが目標です。そのひとつがパリ。そこで試合を見てくれた人に楽しんでもらえたら、私にとって一番うれしいことですね」
取材に伺った日の練習メニュー
今回はオフに入ったばかりで、撮影しながらの軽い練習となった。ストレッチを入念に行ったら開始。ラリーを行ったり、ネット近くのプレーやスマッシュ、そしてサーブなどテニスの基本的な動きを披露してくれた。 テニス選手としては156cmと小柄なのだが、驚かされたのが、その瞬発力。難しいボールを、ことごとく拾っていくのである。敵にしてみれば、たまらなくイヤな相手だろう。
取材・文/鈴木一朗(初出『Tarzan』No.872・2024年1月25日発売)