「今年は大きなコートでやるのが目標」テニス・加藤未唯が描く未来
シーズン中であっても、トレーニングは欠かせない
小学校2年のときからテニスを始め、その面白さにすぐにハマった。他の人よりも1歩先にあるボールにラケットが届く、人の取れないボールが自分は取れるのが楽しかった。 今でも加藤のボールに対する反応は素晴らしく、混合ダブルスでもここぞという場面で美しいボレーを決めていた。ジュニアで成績を残し、高校卒業後にプロ入りを果たすのだが、テニスのツアーに出場するというのが、どれほど大変かを知る人は少ないだろう。 「これからの予定は?」と聞くと、加藤はスラスラ答えてくれた。 「流れがあって、12月末からオーストラリアに行って、一度帰ってきて中東。それからアメリカ、ヨーロッパ。もう一度アメリカで、その後はアジアシリーズですね」 シーズンは12月末に始まり、翌年の10月の後半、11月ごろまで続くこともある。つまり、ほぼ休みなしで海外を転戦しているのだ。大会がある場所に行って試合を行って、終わったら次の大会のために移動する。ずっとその繰り返しなのだ。 「だから、気持ちがどうとか言っている場合じゃない。疲れて寝て、疲れて寝てという感じだから、前の日に何かやるということもない。対戦相手の試合を“こんな感じなんだ”なんて言いながら見るぐらいで。 たとえばサッカーとかだったら試合の日が決まっていて、多分気持ちも持っていきやすいんだろうけど、テニスにはそれがまったくないんです」 オフシーズンが約1か月半というのも厳しい。なぜなら、次へ向けての体力強化の時間が満足に取れないのだ。そもそも、転戦し続けたカラダには疲れがたっぷり残っている。 「1年間通して戦えるカラダ作りを心がけてはいるんですが、1か月半トレーニングをしたからって、1年持つわけがないんです。だから、オフシーズンとツアー中は、やることはあんまり変わらない。 ウェイトトレーニングとインターバルなどの走るトレーニングを週2回ずつ。それに試合のときにできなかった動きとかをチューブや紐を使って修正することも週2回やっています。 オフのときは、負荷を重くしたり、運動量を増やしているのが違いです。シーズン中でも週に1日は休みますが、それ以外の日は試合があっても必ずトレーニングをしていますね」 とにかくタフでなければやっていけないのである。ずっと旅をしながら戦い続けるのだ。 「毎週、違うところへ行って、違うベッドで寝て、これで休まっているのかと思うときもあったけど、さすがにもう慣れました(笑)」