『笑いのカイブツ』岡山天音 自分にとっての“ものづくり”は生命維持のために必要なもの【Actor’s Interview Vol.36】
“ものづくり”は生命維持のために必要なもの
Q:ツチヤが対峙しているものが“お笑い”ということで、何か意識した部分はありますか? 岡山:あんまり無いですね。先日取材を受けた際にツチヤさんが仰っていたのが、「(お笑いが)お金が掛からず誰でも取り組めることだった」ということ。話していて気づいたのですが、ツチヤさんは、映画や漫画などお笑い以外にも色んなことを貪るように吸収している人なんです。それで気になって「例えば、もし映画や漫画がお金が掛からずに出来ることだったら、そっちの道に行っていた可能性はあるんですか?」と聞いてみたんです。そうしたら「全然あります」と。周りを探ったときに、パッといちばん最初に掴めたのがお笑いだったと。だから何かカテゴリに依存した物語ではなく、もっと普遍的なことのような気がするんです。 ただ、5秒に1回大喜利のネタを出すというのは難しかったですね。そもそも5秒で文章を書くというのが無理なんですよ(笑)。タイマーを持ちながら実際に練習したりしました。クランクイン前に松本穂香ちゃんたちとリハーサルする時間があったのですが、その時はリアルに自分でネタを考えることにチャレンジしたりもしましたね。 Q:ネタを考えているシーンでは常に貧乏ゆすりをされていましたね。 岡山:体内の速度がすごく上がっている状態ですから。貧乏ゆすりをしようと思ってしていたわけじゃないんですけどね(笑)。 Q:本作は“ものづくり”の映画でもあります。常に“ものづくり”の現場に身を置かれている岡山さんにとって“ものづくり”とはどのようなものでしょうか? 岡山:寝たりご飯を食べたりする感じですかね。生命を維持するために必要なものという感覚。“ものづくり”が職業になっている人って、そういう人たちだと思います。もちろん仕事としてやっている方もたくさんいると思いますが、そういう性質に生まれたからしょうがないという感覚がある。他の仕事との認識の差も無くて、たくさんある職業と横並びにあるもの。特別なものという思いはないですね。社会を回す歯車の一つだと思っています。 映画という“ものづくり”の中では、俳優部が担っている部分はほんの一部ですが、その役を演じるという意味ではかなり大きな役割を担っていると思います。最初は脚本という文字だけのものを、お芝居を通じてどう表出させていくか。それをやっている時間は、ものづくりをしている感覚があるかもしれません。 岡山天音 1994年6月17日生まれ、東京都出身。2009年、NHK「中学生日記」にて俳優デビュー。2017年公開『ポエトリーエンジェル』(飯塚俊光監督)で第32回高崎映画祭最優秀新進男優賞、2018年公開『愛の病』(吉田浩太監督)でASIAN FILM FESTIVAL最優秀男優賞を受賞。主な出演作に、『新聞記者』(19/藤井道人監督)、『王様になれ 』(19/オクイシュージ監督)、『青くて痛くて脆い』(20/狩山俊輔監督)、『FUNNY BUNNY』(21/飯塚健監督)、『キングダム2 遥かなる大地へ』(22/佐藤信介監督)、『さかなのこ』22/沖田修一監督)、『沈黙のパレード』(22/西谷弘監督)、『あの娘は知らない』(22/井樫彩監督)、『キングダム 運命の炎』(23/佐藤信介監督)、『ある閉ざされた雪の山荘で』(24/飯塚健監督)など。 取材・文:香田史生 CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。 撮影:青木一成 ヘアメイク:AMANO、スタイリスト:岡村春輝 『笑いのカイブツ』 テアトル新宿ほか全国公開中 配給:ショウゲート、アニモプロデュース ©2023「笑いのカイブツ」製作委員会
香田史生
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