赤旗の「裏金」「2000万円問題」スクープで自民に大打撃も…「共産党」はなぜ議席を減らしたのか
れいわに負けた共産党
“赤旗砲”は今回の衆院選でも炸裂した。10月23日に「裏金非公認に2000万円 公認と同額 自民本部が政党助成金」との記事を紙面に掲載し、電子版でも配信した。 「自民党の候補者は衆院選後、メディアの取材に対し、『赤旗の2000万円報道で、一気に有権者が離反した』と口を揃えました。自民党が単独過半数割れに追い込まれたのは、赤旗が入念な調査報道を行ったからと言っても過言ではありません。にもかかわらず、総選挙で共産党に票は集まりませんでした。自民党に吹き荒れた強烈な逆風を、どうして共産党は順風に変えられなかったのか、多くの関係者が首を傾げています」(同・記者) 「今回の衆院選では自民党にお灸を据えよう」と考えた無党派層のうち、いわゆる左派的な政策を支持する有権者は、立憲民主党、共産党、れいわ新選組の3党を投票先として考えたに違いない。 「実は立憲民主党も、反自民党票の受け皿として完璧に機能したわけではありません。確かに小選挙区制では公示前の98議席が148議席と50議席も増えました。ところが比例を見ると、前回の約1149万票に対して今回は約1156万票と微増にとどまったのです。これに共産党が比例で80万票を減らし、れいわが比例で159万票を上積みしたことを考えると、裏金事件に憤り、『自民党には投票しない』と決めた左寄りの有権者は小選挙区なら立民、比例はれいわに票を投じた可能性が出てきます。つまり、共産党は無視されたというわけです」(同・記者)
前回は「非現実的な訴え」
元参議院議員で共産党の政策委員長を務め、2005年に離党した筆坂秀世氏は「衆院選は前回も今回も志位和夫さんが指揮を取りました。そして2回とも共産党は衆議院議員の数を減らしたことになります」と指摘する。 ここで志位氏について触れておこう。志位氏は2000年11月に共産党委員長に就任。今年1月に静岡県熱海市で開かれた党大会で委員長を退任した。後任は今回の選挙で参院から衆院に鞍替えした田村智子氏で、志位氏は党議長に就任した。また志位氏も今回の選挙では比例南関東ブロックで当選している。 「まず前回の衆院選から見てみましょう。この時、野党5党は大半の小選挙区で候補者の一本化を行いました。その際、志位さんが訴えるよう指示したのは『政権交代』でした。自民・公明両党を下野させるため共産党に票を入れてほしいと呼びかけたわけです。しかし、これが非現実的な訴えだったのは言うまでもありません。首相が菅義偉さんから岸田文雄さんに変わって衆院選となり、自民党に逆風は吹いていませんでした。実際、自民党は絶対安定多数と呼ばれる261議席を単独で確保するのです」(同・筆坂氏)