尹大統領弾劾可決の瞬間に合唱鳴り響く…この時代の民衆歌謡になったK-POP
「可(賛成)204票、否(反対)85票、棄権3票、無効8票で(大統領弾劾訴追案が)可決されたことを宣言します」。 14日午後、国会本会議場で禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長が開票結果を発表した瞬間、これを電光掲示板で見守っていた国会周辺では少女時代のデビュー曲『また出会った世界』(2007年)が鳴り響いた。「愛しているあなたを、この感じこのまま。描いてきた迷いの終わり」。 『また出会った世界』は12月3日の非常戒厳事態後、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する弾劾訴追案が可決されるまで毎日開かれたろうそく集会で流れていた。SNSではこの歌が2024年版の新民衆歌謡に浮上した雰囲気だ。音楽配信サイトのメロンによると、3~9日の『また出会った世界』聴取者数は1週間前より23%増加した。キャロルのようなシーズン曲でないかなり以前のアイドル曲の聴取者数が20%以上増えるのは異例というのが業界評価だ。 この曲が集会やデモの歌として注目され始めたのは2010年代からだ。2016年7月に梨花(イファ)女子大学の在学生・卒業生が学校側の社会人を対象にした生涯学習単科大学(未来ライフ学部)設立計画に反対して座り込みを行い警察と対峙する間、学生らはこの歌を歌ともに歌った。互いに腕を組んでいた学生らは恐怖を乗り越えるためにこの歌を歌ったという。当時この場面を撮影した動画はSNSなどを通じて広まった。 2016年11月の朴槿恵(パク・クネ)大統領退陣を要求する大規模ろうそく集会でもこの歌が流れた。こうした事実はタイでも知られ、2020年のタイ民主化運動デモの時にこの歌が使われた。 『また出会った世界』は不安を克服し未知の世界へ出て行く少女の姿を歌っている。歌詞が全部韓国語で構成されているのが特徴だ。SNSでは「また会った私の世界」という1番の歌詞が2番では「また会った私たちの」と変わって「私」から「私たち」へと広がる過程に意味を付与する分析も出ている。 ◇「原曲者の威厳」反応出した少女時代 この歌を書いた作詞家のキム・ジョンベは過去のインタビューで「今後どんな恐れがきても避けずに解決しろというメッセージを与えるために作った歌」と明らかにした。少女時代メンバーのユリは2016年の梨花女子大学の集会の映像に接した後、インタビューで「映像を何度も見て胸が熱くなり泣いたりもした。歌手として大きな自負心を感じた瞬間だった」と話した。2度目の弾劾訴追案採決を翌日に控えた13日には集会に向かうファン向けに食べ物の差し入れをした後、「『また出会った世界』しっかり歌って」というメッセージを残したりもした。 政界でもこの歌に注目している。野党「共に民主党」の鄭清来(チョン・チョンレ)国会法制司法委員長は3日にこの歌を紹介しながらこみ上げる姿を見せた。「この世界で繰り返される悲しみにもうさよなら」という歌詞を読んだ後だった。民主党の朴賛大(パク・チャンデ)院内代表は16日、「内乱事態を経験し私たちが『また出会った世界』は以前の社会よりましな社会にならなければならない」と話した。 14日の採決当日に国会の集会現場に行ったというあるネットユーザーはフェイスブックに「『また出会った世界』はもうこの時代の(民衆歌謡である)『朝露』になったようだ」と評した。少女時代メンバーのソヒョンは弾劾訴追案が可決された後、自身のインスタグラムストーリーに作家韓江(ハン・ガン)の『少年がくる』の表紙写真とともに『また出会った世界』のこんな歌詞の一部を上げた。「いつまでも一緒だよ」。 オンラインではユリやソヒョンのSNSへの投稿をめぐり、「原曲者の威厳」「ありがたい」という反応が出ている。