2017年卒の「就活」売り手市場鮮明、内定率は最大79.8% 民間調査
2017年春に卒業する大学生らの就職活動で、面接などの選考が解禁されて1か月。大手就職支援サイト3社が発表した内定率などの調査結果によると、複数社の内定を獲得しながらも、大手企業からの内定を得て就職活動を終了するといった「学生優位」の状況が透けて見える結果となった。
今後は夏採用、秋採用など「第2ラウンド」に
就活サイト「キャリタス就活」を運営するディスコの調査(7月1日~5日、回答者1242人)では、内定率が79.8%の高水準となった。就職先を決定し、活動を終了したのは全体の58.1%で、就活継続中は38.1%だった。就活終了者の41.7%が「第一希望」の企業に決定したと回答するなど、売り手市場が伺える。就職決定企業の7割は従業員1000人以上の大手企業だった。
就活サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアの調査(7月1日~5日、回答者2275人)では内定率は70.8%(速報値)。大学生の内定取得者数の平均値は2.17社で、複数社の内定を取得している割合は57.0%と、同社調査では実に半数以上の学生が複数社から内定を得ている状況だった。
就活サイト「マイナビ」を運営するマイナビの調査(6月25日~30日、回答者8220人)の調査では、調査時期が2社と比較してやや早かったことから、内定率は65.3%だった。それでも理系院生の内定率は79.6%と特に高く、学部生も68.2%と理系学生の人気の高さがうかがえた。平均内定保有社は2.0社で、複数社の内定を獲得している学生の割合は53.3%とリクナビ調査と同様に半数以上にのぼった。就活を終了した学生は60.0%で、内定を持つ学生が入社しようと思う企業規模は、49.9%が従業員1000人以上と、同社の調査でも大手企業が人気だった。
活動を続ける価値はあるが「油断は禁物」
3社の広報担当者に話を聞くと、今年の内定率の高さは昨年や2015年ごろからの「売り手市場」の流れを引き継ぐものだという。ディスコの担当者は「企業の採用意欲は年々高まっており、学生にとって有利な市場環境となっている。まだ選考活動中の企業も多く、6月中に内定を取得しても、活動を続ける価値はある」と説明する。 今年は昨年より混乱が少なかったという声も。マイナビの担当者によると「昨年は中堅・中小企業も8月までに内定を出していたため、大企業の内定が出た8月以降に再び就職活動をするのが大変だった。卒論や研究などの学業にも影響があるスケジュールだったが、今年はそれほど混乱がなかった」という。 一方で、今後も就活を続ける学生に対し、「油断は禁物」と話すのはリクルートキャリアの担当者。「採用数に届かなかった場合、採用基準を下げない企業の方が多い。企業は優秀な学生なら採りたいというスタンスは変わっていない」と指摘していた。