中川紅葉のエッセイ連載!6月に感じた小さな変化とは?「何がしたいかわからなくても動いていないと怖い」/ココロすっぴん#34
青山学院大学に在学する現役女子大生で、演技やバラエティなどマルチに活躍している中川紅葉さんによるエッセイ連載「ココロすっぴん」。かなりの読書家で、大学生・タレント・インフルエンサーなどのさまざまな顔を持つ彼女が日々感じたことを、忖度なく書き綴ります。 【写真】占い好きな中川紅葉 ■#34「暴動を起こしたかった6月」 6月頭。友人を待っていた私は渋谷の大盛堂書店に入った。好きな作家さんのサイン本が完売した張り紙を見て、思わず頬が緩んだ。他人に自分の好きなものを教えたくない性格だったはずだったのにな、なんて思う。秘密主義な性格崩壊の合図、もしくは作家さんの成功への祈りか。 数週間前の自分には分からなかったものの、今はなんとなく変わっていく感覚が、ある。 最近、外に出てみようと意識するようになった。数ヶ月前、月に一度は新しい人をご飯に誘ってみるとか、行ったことない場所に行くとか、今年24歳になる人間としてハードルが低すぎる目標を立てていた。それでもそのおかげで、久しぶりに会えた人もたくさんいたし、友達が増えるきっかけができた。 同時に、人と話せば話すほど、自分には誇れるものもないし、仕事を抜かせば語るものもないことに気がついた。そして、何かを壊してまでやりたいことというものがないことも目の当たりにした。 人に引かれても、迷惑をかけてでも、わがままを言ってでも、したいこと。それが、私にはない。 4月頃に行った占いのことを思い出した。私は残念ながら、占い師の言葉を素直に受け取れるほど寛容ではない。良いことなら信じるし、悪いことなら信じたくない。耳が痛いことを言われると、「今日の先生は当たらなそうだった」と悪口を言ってしまう。 この日も、「人の目を気にしすぎ、迷惑をかけたくないと思いすぎ」と言った彼女に若干の嫌悪感を抱いていた私は、「1人で日本一周したことある?あなたにできることはまだある。吸収しなきゃ、自分で」という言葉を聞いた時、右足で貧乏ゆすりをしていた。あまりにもストレスだった。赤の他人に何が分かる、とお金を払ってわざわざ自分でお店に出向いたこと自体にも腹が立ってきていた。 でも、今ならなんとなく彼女の言っていることが分かる。今月、色んなところに行った。1人で近くの街に旅に出ることが大きな進歩、なのではない。そういう決心がついたこと自体が成長、だと思っている。例えば、実家暮らしの私は、急に旅に出たら母に心配をかけるだろうと勝手に考えて我慢をしていた。家に1人にさせてしまうのは可哀想だという考えがもう、あの占い師の言う「迷惑をかけたくないと思いすぎ」の部分な気がした。 気がつけば、1人で熱海でエッセイ本のロケ地巡りをしたり、海を見ていた時もあったし、友達を誘って旅行に行った日もあった。今は何がしたいのか分からなくても、動いていないと怖い。簡単に見つけた目標は、きっとすぐに用無しになる気すらする。だから時間をかけて、考えや見たものを増やすしかないかと思った。 大きく何かが回り出した合図もなければ、特別良いことがあったわけでもない。でも今は、やっと少しづつ、自分で歩けるようになってきた。そう信じたい。 ■【ヒトコト】 そんな今も、大親友と秩父にいる。たまたま休みが合って、良い休日にしようと意気込んでいたのに、楽しみすぎて前日は寝られず、日差しにやられ、またもやひいていた喉風邪にもやられている。 遠足前に風邪をひいてしまう子供みたいで嫌になっちゃうね。