警察「ちょっとよろしいですか?」――職務質問で密かにチェックしている、〈やましい事情がある人〉の特徴【知能犯担当の元刑事が解説】
【上肢】姿勢が後方へ倒れる、斜に構える、横に揺れる
上肢、つまり姿勢も何かを物語っています。上半身の角度は「興味の角度」とも言われます。人間は興味があればあるほど前のめりになり、興味がなければ後方に倒れていきます。つまり、そこで相手の心理を読むことができます。 刑事時代、取調べをしていて犯人の姿勢にも注目しました。 ウソをついているときは背もたれに深く座り、首を横に振ったり、質問に対しても無反応であることが多いのです。 ところが「それは違います」と真実を述べたいときや、「ここは弁解したい」と必死に説明するときは前のめりになります。自分に興味のある話であれば、前のめりになるのが自然な人間の仕草なのです。 また上半身の揺れは感情の揺れでもあります。会話をしていて縦に揺れる場合は相手の話を承認して頷きながら聞いているケースが多いのですが、横に揺れ出す場合には否定的な感情を持っています。体で「NO」と示しているのです。 話をしていて相手の上半身が斜めに向いている場合、つまり正対していない場合も拒絶や不満、疑問を持っていることが多いです。いわゆる「斜に構える」という状態ですね。 あなたも嫌いな人や苦手な人の前だと斜に構えて話すことがあると思います。上半身の姿勢も心理を物語るのです。 森 透匡(もり ゆきまさ) 一般社団法人日本刑事技術協会 代表理事 国税庁税務大学校、財務省税関研修所 研修講師 経営者の「人の悩み」解決コンサルタント 警察の元警部。詐欺、横領、贈収賄事件等を扱う知能・経済犯担当の刑事を約20年経験。東日本大震災を契機に独立し、刑事が職務上体得したスキル、知識を用いてビジネスの発展と社会生活の向上に寄与することを目的とし、一般社団法人日本刑事技術協会を設立。現在は代表理事として「ウソや人間心理の見抜き方」を主なテーマに大手企業、経営者団体など毎年全国180ヵ所以上で講演・企業研修を行う。マッチングアプリ大手運営会社の詐欺防止に関わる有識者会議委員、『高齢者を身近な危険から守る本』(池田書店)の監修など、幅広く活動している。 TBS「ビビット」、日本テレビ「月曜から夜ふかし」、読売新聞、日経新聞などメディアへの出演、掲載も多数。著書に『元知能犯担当刑事が教える ウソや隠し事を暴く全技術』(日本実業出版社)、『刑事(デカ)メンタル』(ダイヤモンド社)など。
森 透匡