警察「ちょっとよろしいですか?」――職務質問で密かにチェックしている、〈やましい事情がある人〉の特徴【知能犯担当の元刑事が解説】
【下肢】足先が外側を向いている=「この場を逃れたい」
デズモンド・モリスは、「人間の動作で信用できる順番」の2番目は「下肢信号」だと言っています。 下肢、つまり下半身は人間の体から離れたところにあるので、油断して本音を隠しきれずに出ていることが多いのです。 ですから、当然刑事は現場で足先に注目します。 たとえば、自転車に乗っている人を止めて職務質問することがあります。 「お急ぎのところすみません、身分証明書か何かお持ちですか?」 「あー、免許証ならありますけど…」 と手渡したときの足先を見るのです。 何かやましいことがあって「この場を逃れたい」と思っている人間は、足先が外側を向きます。警察官のほうに向かって真っすぐには向いていないのです。顔は平静を装っていますが、心理状態が足に出ているわけですね。 税関の職員が入国審査でどこを見ているか? やはり入国者の足に注目しています。 笑顔で「ハロー」とにこやかに挨拶しますが、足先が外を向いていた場合、「ここから早く立ち去りたい」という合図です。 もしかするとやましいものを所持しているかもしれませんし、パスポートが偽造されているかもしれません。 日常生活でも「足先」を見ていると、いろんな心理がわかります。会社の廊下で普段あまり顔を合わせない、違う部の課長に会いました。 「課長、久しぶりですね」 「そうだね」 そう話す課長の足先を見ると、廊下の先の部長室を指しています。きっと決裁を仰ぎに行く途中なのでしょう、話している時間はない、と足先が示しています。 「あ、すみません。お急ぎですね、失礼しました」と言うと、「お、悪いね、また」と課長は言ってそそくさと部長室のほうに歩いていきました。 つまり廊下での立ち話でも相手の足先を見れば、ここに留まって話をしたいのか、さっさとその場を離れたいのかがわかるというわけです。 また足先は異性の心理を読むときにも使えます。 初デートで女性と食事をします。 相手の女性の足が自分のほうにきちんと向いていれば大丈夫です。しかし、足を組んで足先が出口を向いていたり、あなたのほうに向いていない場合は「早く帰りたいな」という合図なのかもしれません。 通常は足先にまで意識がいかないので、無意識に本音が出てしまうものなのです。