【NBA】34歳でも高評価を得るポール・ジョージはクリッパーズ残留か、それともセブンティシクサーズに新天地を求めるか
「我々はポールを高く評価し、残したいと考えている」
クリッパーズの2023-24シーズンは、プレーオフのファーストラウンドでマーベリックスに敗れて幕を閉じた。 カワイ・レナードは古傷の右膝に腫れが出て、レギュラーシーズンのラスト8試合を欠場。プレーオフの第2戦から2試合に出場したが、その後はプレーしなかった。レギュラーシーズンでの68試合出場はスパーズ時代以来で過去6年にはなかった数字で、2日連続の試合でもプレーして攻守に支配力を見せていたが、シーズンの一番大事なところでアクシデントに見舞われたのは不運だった。 ローレンス・フランク球団社長はシーズンを締めくくる会見で「誰にとっても悔しい結果だったから、失望し、苛立っている。言い訳をするつもりはない。プレーオフで16勝しなければならないのに、2勝しか挙げられなかった」と語る。そして彼は今後に向け、カワイとポール・ジョージ、ジェームズ・ハーデンを軸とするチームを継続させたいと話した。 クリッパーズの優先順位はまずカワイで、彼とは今年に入ってすぐ3年1億5240万ドル(約230億円)の契約延長を決めている。次はジョージ、続いてハーデンだ。ジョージはプレーヤーオプションとなっている契約最終年を残すのみで、ハーデンは完全フリーエージェントとなる。 フランク球団社長は言う。「我々はポールを高く評価し、残したいと考えている。我々は選手を正しく評価し、それに見合った年俸を支払いたい。ただ、正確な金額については言えない。この1年間、彼とは良い交渉ができたし、残留してくれると期待している。2人ともフリーエージェントとして選択肢があることは理解しているが、残ってもらいたい」 問題は、今のサラリーキャップの厳しい制限の中で、実績あるスター選手の全員が満足する条件は提示できないことだ。ハーデンはセブンティシクサーズでプレーするために年俸カットを受け入れたが、その忠誠を裏切られたことでクリッパーズに移籍してきた。その彼が条件面で譲歩することはもうないだろう。そしてジョージはクリッパーズと最大4年2億2100万ドル(約330億円)の契約を結ぶことができるが、いまだ合意に至っていないということは、それより低いラインで交渉が続いているからだろう。 フランク球団社長は「ジョージを残したい」と言うが、どんな条件を提示しているかを明かさない。これはクリッパーズがカワイと同じような譲歩をジョージやハーデンにも求めているのだとされる。カワイは3年契約を受け入れたが、それは彼がまだ32歳だからだ。34歳のジョージにとって、今オフが最高の条件で新たな契約を結ぶほぼ最後のチャンスとなる。ジョージはクリッパーズの環境に満足しているようだが、他により魅力的な選択肢があれば、プロとして移籍の決断を下してもおかしくはない。 クリッパーズ以外のチームがジョージに提示できるのは4年2億1200万ドル(約320億円)とやや下がるが、その満額かそれに近い額をオファーするチームは出てくるだろう。その一つがセブンティシクサーズだ。シクサーズはジョエル・エンビードとタイリース・マクシー以外のほとんどの選手が今オフに契約満了を迎えるよう計画し、フリーエージェント獲得に乗り出す。 エンビードとマクシーと共存する『3番手』の役割はそう簡単ではないが、ジョージは他のスター選手の個性を引き立てながら、自分の個性も発揮できる点で、他のスター選手とは一線を画す。プレーオフでの敗退が決まった時、クリッパーズに残るかと質問されたジョージはこう答えている。「物事がそう運ぶなら、そうなるね」